「2024年問題」ドライバー不足を救う驚きの仕組み…フィジカルインターネットは物流危機を解決するか
航空機の予約システムでは、日時と経路などの条件を入力すると、航空会社を横断して空席のある便と料金を検索できるサービスが提供されている。貨物輸送でも、企業間やプラットフォーム間の物流情報を共有して最適な場所、経路、料金を見つけて自動的に予約できるような仕組みが必要になると考えられる。 ALICEでは、NECが開発した「eNegotiation(イーネゴシエーション)」を国際標準化し、AIやロボットが交渉・調整を行って自動的に予約できる環境を整えようとしている。
日本でインターネットの商用サービスが始まった頃、IIJはNTTからインターネットの技術提供を依頼されたことがあった。これまで苦労して技術開発してきたエンジニアたち全員が反対するなかで、IIJ会長の鈴木氏は日本のインターネット普及に貢献するために技術提供に応じたというエピソードがある。長谷川氏も「PIの普及に貢献するために技術提供に応じても良いと考えている」という。 ■未来の物流ビジネスの形 今後、PIが普及し物流データが大量に蓄積されるようになると、データを活用したアプリケーションサービスへとビジネス競争のステージは移っていく。Amazonは、インターネットを活用して物流ビジネスに数多く変革をもたらしてきたが、ある専門家は「Amazonはダッシュサービスなど消費者の需要に迅速に対応するためにアプリ開発を行っており、今後は注文が入ってからモノを運ぶのではなく、AIなどで需要を予測してモノを運ぶ“予測物流”を目指すのではないか」と、物流のさらなる進化を予想する。
世界でほぼ同時に始まったインターネット革命では、GAFAMに市場を占有され、日本は世界に大きく出遅れたが、フィジカルインターネットではどうなるだろうか。この先に想定される物流危機を乗り越えるためだけでなく、PIの世界市場も視野に入れてインフラ整備とアプリ開発に取り組んでいく必要があるだろう。
千葉 利宏 :ジャーナリスト