「2024年問題」ドライバー不足を救う驚きの仕組み…フィジカルインターネットは物流危機を解決するか
三井不動産では、日鉄興和不動産と共同開発した物流施設「MFLP-LOGIFRONT東京板橋」内に、ドローン実証実験の場「板橋ドローンフィールド(DF)」を10月2日に開設した。 物流施設内にDFを設置したのは、ドローン物流の拠点となる「ドローンポート」の実用化を目指しているからだ。施設の運営は、無人航空機(UAS)と次世代移動体システム(AMS)の産業・市場の育成を目指す日本UAS産業振興協議会と、ドローンベンチャーのブルーイノベーションが担うが、「ドローンポートの開発はトヨタ自動車が中心となって行う」(ブルーイノベーションの熊田貴之社長)という。
「MFLP-LOGIFRONT東京板橋」の目の前には新河岸川が流れており、荒川にもつながっている。現時点では河川の上空をドローンが飛行する許可は得られていないが、国はドローン物流の飛行ルートとして河川上空を活用する構想を打ち出している。将来的には河川沿いにドローンポートが設置され、物流施設はドローン物流の「結節点」の機能も果たすことになるだろう。 ちなみに、2024年4月に三井不動産が中心になって開発されることになった東京・中央区の「築地地区まちづくり事業」でもドローンタクシーのポートを設置する計画だが、この事業にはトヨタ不動産が事業者として参画している。トヨタグループでは、ドローンポートの開発にかなり力を入れているようだ。
■標準化が苦手な日本はどうしていくのか 今年9月に東京ビッグサイトで開催された「国際物流総合展2024」の会場で、筆者はフィジカルインターネット(PI)の将来性について出展者に意見を聞いて回った。2年前に取材した時にはPIについて質問しても「知らない」と答える関係者がほとんどだったが、物流業界にもかなり浸透してきた印象だった。 一般社団法人フィジカルインターネットセンター(JPIC)では、今年4月に成立した改正流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法で一定規模以上の特定荷主に「物流統括管理者=CLO(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)」の設置も義務付けられたことを受けて、9月にCLO協議会を設置。企業間連携の活性化に取り組むとともに、10月にはフィジカルインターネット研究会を設立し、PIの具現化のための高度物流人材の育成にも力を入れ始めた。