「2024年問題」ドライバー不足を救う驚きの仕組み…フィジカルインターネットは物流危機を解決するか
PIのアプリとして最初に開発しているのは、共配されるすべての貨物の計画と実績が可視化されるアプリケーション「SOM(Supply chain Order Management)」で、結節点となる物流施設に集められた荷物をすべてトラッキングできる仕組みである。 比重が大きい重量物だけを積むと荷台のスペースが余り、軽量物だけを積むとトラック積載量が余る。結節点で重量物と軽量物を最適に組み合わせて積み替え、その実績を記録することで、例えば5台で運んできた荷物を3台で運べるようになり、余剰となった2台を有効利用できる。同社が行った共同輸送の実証実験では輸送距離を26%、CO2排出量を21%削減できた。
その後も第2のアプリケーションが計画されている。集められた貨物を最適に組み合わせてトラックに積載できるようにする「オンラインリソース予約システム」である。 オンライン予約システムが実現すると、「ドライバー不足で輸送が困難になっている中ロット貨物も適正なコストで輸送できるようになるだろう」(長谷川氏)と期待する。 そのほかに、トラックドライバーの荷待ち時間の原因となっている「検品」作業を、事前出荷明細情報(ASN)を活用して不要にするためのアプリや、メーカー、卸、小売りの間で在庫データを共有して欠品させることなく在庫量を最適化するためのアプリなどの開発を進めている。
■ドローン物流の拠点「ドローンポート」の実用化目指す PIの実現には、物流施設を機能強化していくために戦略的な投資も必要となる。物流施設を対象としたJリート(上場不動産投資信託)の三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(MFLP)と伊藤忠グループがスポンサーのアドバンス・ロジスティクス投資法人(ADL)は11月1日付で合併することになった。 「合併によって三井不動産と伊藤忠商事の物流関連リソースを相互活用しやすくなるほか、デジタル化やAI化の投資を積極的に進めていくうえでもメリットがある」――不動産証券化協会(ARES)の9月30日の記者懇談会で、ARES会長を務める三井不動産の菰田正信会長は、物流施設でのデジタル投資を積極的に進める考えを示した。