能登半島地震から半年…復旧復興はなぜ進まないのか
輪島支店は、かつて、活気にあふれた能登の一大観光スポット・輪島朝市がある場所に建っていた。しかし、地震による火災で200棟以上が焼失。輪島で生まれ育った堂角さんは、「この町を元気にしたい…」その一心で働いてきた。
被災者向けの補助金が活用されないワケは?
5月。「のと共栄信用金庫 輪島支店」で、中小・零細企業に向けた「なりわい再建支援補助金」の説明会が行われた。この補助金は、地震で建物や設備が損壊した事業者に国や県が復旧費用の4分の3を補助するというもので、堂角さんは「復興の第一歩のスタートになってくれれば」と話す。 だが補助金の申請には、罹災証明書の他、事業計画書や工事の見積書など、山のような手続きがあるのが実情。説明会の参加者からは「日々の仕事で頭がパニック。それプラス難しい書類が出てくると、個人では対応できない人が多い」という声が上がる。 輪島支店の大事な取引先、包装資材店「三辻商店」(※辻の字は一点しんにょう)が被害を被ったのは倉庫で、資材を保管する3棟が全壊し、三辻敬社長は補助金を申請したいと考えていた。 倉庫は自治体の補助で解体することが決まっていたが、のと共栄信用金庫の復興支援チーム・盆下直喜さんは、補助金を申請するには、解体する前に“全壊した倉庫の修繕見積もり”を取らなくてはいけないとアドバイスする。「全く知らなかった…」と三辻さん。
数日後、三辻さんは「宮下工務店」の宮下和博社長に見積もりを依頼。宮下さんは一つずつ聞き取りをし、手書きで図面を起こしていく。倒壊し、元の姿がわからない建物であっても図面を作る必要がり、三辻さんは記憶を頼りに元の姿を細かく説明していく。見積書は、本来ならば、部屋ごとのコンセントやスイッチの数、壁紙一枚一枚の金額まで記載しなければならず、50ページになるケースもあるという。 「建て替えない倉庫の見積もりも取らなくてはならない。それが納得いかない。無駄な時間」と宮下さん。しかも、宮下さんが行う見積もりの費用は無料で、「その費用を(県に)出してほしい。輪島で見積もりのお金とっている人はいないと思う」と本音を漏らす。