能登半島地震から半年…復旧復興はなぜ進まないのか
今回のテーマは、「進まぬ復興 その真実」。 「能登は見捨てられた…」元日に起きた能登半島地震から半年、復旧復興はなぜ進まないのか。番組の独自取材で明らかになった真実とは……。能登に生き、復興を諦めない人たちの姿を追った。 【動画】能登半島地震から半年…復旧復興はなぜ進まないのか
止まらない廃業、人口流出…瀬戸際に立たされる能登
石川・珠洲市で唯一のタクシー会社「スズ交通」は、能登半島地震の津波で車両を失った。3月に会社を閉めたが、配車を依頼する電話が絶えない。「仮設住宅から病院に行きたい」など、電話の相手は多くが高齢者。町の人にとってなくてはならない存在なのだ。 「スズ交通」に勤めて23年、運転手兼配車係の白木憲一さんは、「非常に心苦しい。今まで使っていただいた恩がある」とお金やお礼の品を受け取らず、昔からのお客をマイカーで送り届けている。「スズ交通」は、一日も早く事業を引き継いでくれる相手を探している。
地震後、能登半島では110を超える事業所が廃業になった。この先、能登はどうなるのか。 去年7月にオープンしたベーグル店「こめとわとベーグル」(石川・輪島市)は、地元の米粉で作ったもっちりしたベーグルと日本海を望む絶景がウリで、観光客の人気を博していた。しかし、能登半島地震で目の前の崖が崩れ落ち、地滑りの危険があることから立ち退きを余儀なくされる可能性がある。 信用金庫からの借入額は3000万円で、オーナーの山下祐介さんは「スタートしてすぐに地震が発生し、全てが狂った」と話すが、被害は店だけではなかった。 山下さんの本業は米農家だが、田んぼの多くが地割れしてしまい、水が引けなくなってしまったのだ。今年は2割しか田植えができなかったという。
そんな山下さんを気にかけているのが、ベーグル店の融資を決断した「のと共栄信用金庫 輪島支店」の堂角清志支店長。堂角さんは、何らかの支援ができないか模索していた。 輪島支店は職員6人の小さな支店で、堂角さんは、日々取引先に被害と資金繰りの状況を確認している。輪島で事業を再開できたのは約半分で、すでに50近く(予定も含む)が廃業していた(6月10日時点 輪島商工会議所)。