円は3週間ぶり安値、株価一段高や日銀利上げ観測後退-144円台後半
(ブルームバーグ): 26日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=144円台後半で3週間ぶり安値を更新した。米国の金利上昇によるドル買いや、日本株の一段高を受けた円売りが優勢になっている。市場では日本銀行の追加利上げ観測の後退が円の重しとの指摘が聞かれる。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、日経平均株価の上げ幅拡大や米長期金利が再び上昇してくる中で、「あすの自民党総裁選が不透明要因だが、今ある材料に従うと円売りが優勢になる」と指摘。日銀の植田和男総裁が米国経済に慎重な見方を示しており、「米経済の軟着陸が難しいなら日銀も利上げできないのではないかとの見方も出てきている」と述べた。
この日は受け渡しのスポット日が9月末に当たるため実需の取引が注目されたが、金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定に絡んだ需給の影響は限定的。その後は日経平均株価の上げ幅が900円を超える中、リスク選好の円売り圧力が高まっている。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、植田日銀総裁の発言以降円売りの流れが続いており、「144円台が定着して潮目が変わりつつある」と指摘。自民党総裁選については「高市早苗経済安全保障担当相が勝利するリスクを円債市場は意識しているもようで、結果次第では為替もそれなりの反応になる」と述べた。高市氏は有力候補の1人とみられており、日銀の利上げに反対している。
混戦の自民総裁選、金融正常化目指す日銀に試練も-トレーダーガイド
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Saburo Funabiki