心臓を直撃する食べ物は…アレ!心臓にいい食べ物・悪い食べ物とは?【40代・50代、心不全パンデミックに要注意!⑥】
毎日の食事は心臓の健康を保つためにも欠かせない要素。普段何気なくとっている食材が、実は心臓に大きなダメージを与えているかもしれない。そこで、心臓力を高めるためにいい食事、悪い食事について、心臓病のスペシャリストである循環器内科医の大島一太さんに伺った。
日本人は塩分過多。隠れ塩分に要注意!
私たちの体は、毎日の食事からとる栄養でつくられている。もちろん心臓や血管も例外ではない。 では、心臓や血管の健康を守るために特に気をつけるべきことは…? 「まず注意していただきたいのは塩分です。多くの人が高血圧の原因として塩分を思い浮かべるでしょう。塩分は血圧を上げる確実な要因のひとつです。年齢とともに血圧が高くなる人が増えてきます。心不全の予備軍にならないために、塩分のとりすぎには十分に注意してください」(大島先生)
《塩分をとりすぎると血圧が上がるメカニズム》 「食塩の主成分であるナトリウムは、体内の水分バランスを調整しています。ナトリウムをとりすぎると体内の水分が過剰に増え、血圧が上がる原因となります。高血圧になると、全身の血管や臓器に負担がかかり、特に心臓や腎臓に大きなダメージを与えます。 腎臓の機能が低下すると、塩分や水分をうまく排泄できなくなり、さらに血圧が上がるという悪循環に陥ります。また食塩のとりすぎとがん、特に胃がんとの関連性も指摘されています。食塩の摂取量が増えるほど、胃がんのリスクが高まります」 とはいえ、食塩(塩化ナトリウム)は人間の生命維持には不可欠なもの。大切なのは、その量とほかの栄養素や成分とのバランスだ。 「1日の食塩摂取量の基準は、日本人の成人男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。血圧をしっかり下げ、腎臓の機能を保つためには、男女ともに6.0g未満を目指すことが推奨されています」 塩分は人間に必要な成分だが、成人が1日に必要な食塩量はわずか1.5g程度。しかし、私たち日本人は1日に10g以上の塩分を摂取しているのが現状だ。 塩小さじ1杯が塩分約6g。男性の場合は小さじ山盛り1杯、女性は小さじ1より少し多い量が基準となる。これだけを見ると、自分はそんなに多くとっていない…と思うかもしれない。しかし、実際には外食や加工食品に含まれる塩分も意外と多く、知らず知らずのうちに塩分過多になっているのだ。 例えば、塩鮭(80g)に含まれる塩分量は約6.5g、天ぷらそばは約5g、味噌ラーメンは約6g、かつ丼は約4gなど。これだけでも1日の塩分量に相当するくらい。これらの料理は、加工過程やつゆにも多くの塩分が使われている。 「ナトリウムは食塩だけでなく、旨味成分として使われるグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウム、麺類に使われるかん水、パンや製菓に使われるベーキングパウダーなど、さまざまな食品にナトリウム化合物として含まれています。このような隠れ塩分にも注意が必要です」 とはいえ、長年食べ慣れた味から急に塩気を減らすと、物足りなく感じてしまう。 「そのような場合は、だしをしっかり利かせることや、唐辛子やにんにくなどの香辛料、レモンやゆずなどの柑橘類、酢などで酸味を上手に取り入れるとよいでしょう。 また、塩分だけでなく、甘味も少し控えめにして全体を薄味にすると、塩分を減らした物足りなさを感じにくくなります。最近は減塩のしょうゆやソース、たれ、ドレッシングなども販売されているので、これらも活用してください」