心臓を直撃する食べ物は…アレ!心臓にいい食べ物・悪い食べ物とは?【40代・50代、心不全パンデミックに要注意!⑥】
塩分はカリウムとのバランスが大切
塩分を減らすことに加えて、ほかに注意すべきことはあるのだろうか? 「個人差はありますが、ナトリウムの過剰摂取は確実に血圧を上昇させます。ここで注目していただきたいのがカリウムです。カリウムはナトリウムとともに細胞の浸透圧を調整し、心臓や神経、筋肉の働きをサポートしています。特に、余分なナトリウムを尿や汗として排出することで、塩分の過剰摂取を調整し、血圧を下げる効果があります。 カリウムは、心臓や血管の健康を維持するために重要な働きをしています。WHOのガイドラインでも高血圧や心血管疾患、脳卒中のリスクを減らすために、食事から積極的にカリウムを摂取することが推奨されています 通常、腎機能が正常でサプリメントなどを服用していなければ、食事からの摂取でカリウムが過剰になることはありません。しかし、腎機能が低下している人や、カリウムの値を保持する薬、一部の高血圧の薬を服用している人は、カリウムが過剰になってしまうことがあるため、まずは主治医に相談してください」 では、カリウムが多い食材にはどんなものがあるのだろうか? 「例えば、ほうれん草、ブロッコリー、レタスなどの野菜やバナナ、柿、アボカドなどの果物、昆布、わかめ、ひじきといった海藻類があります。また、エビやカニ類、大豆、いんげん豆などの豆類、そして緑茶やコーヒーにもカリウムが含まれています。これらの食材を積極的に取り入れることで、カリウムの摂取量を増やすことができます」 カリウムは水溶性なので、煮たりゆでたりすると水に溶け出して減少してしまう。カリウムを多くとりたいときは、生野菜のサラダや果物からとると効率的だ。 「例えば、味噌汁など塩分が気になる料理では、カリウムを多く含む野菜や海藻などの具をたっぷり入れるとよいでしょう。これにより、塩分の多い汁の量を減らすことができ、さらにカリウム効果も期待できます」
健康な心臓のために! 油と食物繊維がポイント
心不全の予備軍として、脂質異常症の人も注意が必要。女性は更年期世代から数値が悪化しやすく、動脈硬化の進行につながる。このため、早い段階からしっかりとコントロールすることが大切だ。 「それには脂肪酸のとり方が鍵になります。脂肪酸には、動物性の脂に多く含まれる飽和脂肪酸と、魚や植物性の油に含まれる不飽和脂肪酸があります。簡単な違いは、飽和脂肪酸は常温で固まりやすく、不飽和脂肪酸は固まりません。 飽和脂肪酸は肉や乳製品(牛乳、バター、ラード、生クリーム)など動物性脂肪や、加工食品によく使われるパーム油に多く含まれます。 一方、不飽和脂肪酸は体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。これを必須脂肪酸と呼びます。不飽和脂肪酸は一価と多価に分かれ、どちらも悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす効果があります。一価不飽和脂肪酸の代表はオリーブオイルです。 多価不飽和脂肪酸にはオメガ6系とオメガ3系があります。オメガ6系は大豆油、ごま油、コーン油、サラダ油、卵黄などに含まれます。必須脂肪酸として適切な摂取が必要ですが、とりすぎると心血管系に悪影響を与えます。普段の生活でとりやすく、過剰摂取に注意が必要です。 一方、積極的に摂取したいのがオメガ3系です。青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサへキサエン酸)、亜麻仁油、えごま油などがあり、これらはおもに中性脂肪などの脂質を低下させ、血液をサラサラにして動脈硬化を予防します」 理想的なバランスは、「オメガ6系」:「オメガ3系」=2:1とされている。このバランスがくずれ、オメガ6系が多すぎると、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが増加する。