ゼレンスキー氏が語った戦争の終わり方、そして日本への感謝 千日超えたウクライナ侵攻、その行方は(後編)
われわれにとって重要なのは文書が完成していること、そして(ロシア以外の)全ての国が統一した立場を持つことだ。トランプ氏が就任後、文書への姿勢を示すことを期待している。文書は平和の公式を支持している国だけでなく、支持していない国々にも共有する。全ての国の見方を聞きたい。各国の反応を確認し次の段階に進む準備を整えるつもりだ」 ▽ウクライナ和平案にロシアは乗るのか ―ゼレンスキー氏は平和の公式について議論する第2回サミットの開催を模索する。成算はあるのか。 「われわれは自分たちの立場を放棄していない。全てのリーダーたちが望んだように、ロシアが第2回サミットに参加すべきだと考えている。彼らを招待する。だがロシア抜きで開かれた最初のサミットに参加するかどうか迷った全ての国に思い出してほしい。私はこう言った。ロシアは平和の公式やサミットを終わらせ、第2回サミットへの参加を拒否するために、あらゆることをするだろう。プーチンは戦争の終結に興味がない。平和に興味がない」 ゼレンスキー氏は第2回サミットに必要な文書は完成したと明言したが、開催時期については触れなかった。2025年1月のトランプ氏就任後に文書への姿勢を示すことを期待すると述べた通り、開催の見通しは立っていないもようだ。ロシアは平和の公式に基づくプロセスへの参画を明確に拒否している。ウクライナ、ロシアの停戦交渉開始の条件は大きく隔たっており、その妥協点が見つかるのか。「これから数カ月が戦争の行方を決定付けるかもしれない」。そんな思いを抱きながら、大統領府を後にした。
× × × 小玉原一郎 総合商社を経て2000年に共同通信。カイロ支局記者、ジャカルタ支局長、テヘラン支局長を経て2023年にキーウ支局長。ウクライナのボクシング・ヘビー級王者オレクサンドル・ウシクのファン。