ゼレンスキー氏が語った戦争の終わり方、そして日本への感謝 千日超えたウクライナ侵攻、その行方は(後編)
ミンスク合意に署名して数年後、何が起きたか。プーチンはその間に準備を整え、軍を増強し、全面戦争を仕掛けて破壊しに来た。何度も」 ▽ゼレンスキー氏の望み ―ウクライナは、ブダペスト覚書、ミンスク合意がロシアによって一方的にほごにされ、全面侵攻が起きたと考えている。一連の経緯から生じた不信と猜疑心が、より強力な安全保障措置が必要だという考えにつながっている。 「経験上、NATOの代替案はあり得ない。ブダペスト覚書とミンスク合意で十分思い知った。これ以上同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。これは人々、犠牲者、家族の破壊、家屋や国家の損失、そして国民や領土の喪失に関わることだ。これ以上リスクを冒すことはできない。われわれは国内に投資を呼び込みたい。国内に企業を誘致し、ビジネスが行われ、国内総生産(GDP)が向上することを望んでいる。ウクライナの安全が保証されることは、西側の投資家にとっても重要だ。NATO加盟はプーチンに再び占領されないことを意味する。NATOはウクライナにとっても、多くのパートナー国、地域にとっても安全を意味する」 ゼレンスキー氏は新たな侵略を食い止めるにはNATO加盟しかないとの立場を繰り返した。上述のように、トランプ氏の政権移行チーム内ではNATO加盟棚上げ論が台頭している。その断絶をどう埋めるかが、平和を実現できるか否かの分岐点になる可能性がある。
▽日本への思い、岸田前首相との関係 ―日本との関係はどう考えているのか。ゼレンスキー氏は単なる外交辞令ではなく、日本が大切なパートナーであることを強調した。 「日本政府と日本国民には感謝を申し上げたい。ウクライナには地政学的にも資金面でも支えてくれた五大支援国がある。武器を提供してくれた国もあれば、資金を提供し、人道支援などで貢献してくれた国もある。日本の場合は(発電所の復旧など)エネルギー分野への貢献だ。米国やドイツと同様に戦争を支えてくれた五大国の一つだ。本当に感謝している。 正直、このような関係を築けるとは思っていなかった。国家間に新たな戦略的なレベルの関係を築くため、日本が心から行動してくれた結果だと思う。私は(岸田文雄前)首相と個人的関係があった。これだけは信じてほしい。日本が困難な状況に陥ったとしても、ウクライナは日本が最も困難な時に共にいてくれたことを決して忘れず、絶えず日本と共にある」 ▽石破首相への期待と確信