ゼレンスキー氏が語った戦争の終わり方、そして日本への感謝 千日超えたウクライナ侵攻、その行方は(後編)
ウクライナのゼレンスキー大統領は2024年12月1日、首都キーウ(キエフ)で約1時間にわたって共同通信の単独インタビューに応じた。前編「ゼレンスキー氏、日本メディアに語り尽くした1時間 千日超えたウクライナ侵攻、その行方は」では東部の厳しい戦況や、ロシア西部に対する越境攻撃、北朝鮮の派兵と東アジアの安全保障環境への影響、トランプ次期米大統領の対ウクライナ政策に関する発言を詳報した。 【独自】ウクライナ兵「北朝鮮兵は(恐怖心から)仲間同士で身を寄せ合うので、狙うのが簡単」 「明らかな経験不足」 戦場での様子は… 「常に徒歩で移動。戦力としての効果は薄い」
後編では、国際社会の最大の関心事である戦争の行く末について、ゼレンスキー氏の考えに迫った。ウクライナが現時点で戦いの目標をどこに設定して、どのような状況が生まれれば戦闘終結に向けてロシアとの交渉を開始することができるのか―。インタビューは核心部分に差しかかる。(共同通信キーウ支局長 小玉原一郎) ▽NATO加盟が絶対に必要な理由 ―ゼレンスキー氏が開戦以来訴えてきたのが、北大西洋条約機構(NATO)への早期加盟だ。NATOには集団防衛義務があり、ある加盟国が攻撃された場合、全加盟国への攻撃とみなして共同で対処する。強力な抑止力を得て、ロシアの侵略を防げるとの考え方だ。今回、われわれが最も注目した発言がここで飛び出した。 「ウクライナが外交の場で強い立場を保ち、しっかりと自立するために、ウクライナをNATOに招待してほしい。地理、地政学、歴史的な観点から、そして過去と現在、隣国との関係を鑑みると、ウクライナのNATO入りを確実にすることがとても大切だ。これが現実的な安全保障となる。
欧州連合(EU)への前向きな立場も明確だ。市場や経済の観点から見てもウクライナの安全保障となる。明確な立場とは単なる方向性ではなく、法律で裏付けられているという事実だ。地政学的なレトリックではなく、決意を意味する。これがウクライナにとっての強い立場であり、いつどのように実現するかを知ることが重要だ」 ▽ウクライナがロシアのエネルギー施設へ反撃する権利 ―ウクライナはロシアによるエネルギー関連インフラへの集中攻撃で、首都を含む各地で停電が深刻化している。ウクライナが対抗して、ロシアのインフラを攻撃する権利はないのか。ゼレンスキー氏は率直に答えた。 「各種ミサイルや長射程兵器、強力な防空網といった(ウクライナに必要な)武器の組み合わせは「勝利計画」に明記している。ロシアが公正な平和によって戦争を終わらせようとするなら全ては使わないかもしれない。だがロシアはわれわれが全てを持っていると知るだろう。ロシアが再び戦争をエスカレートさせようとすれば反撃する。公正な平和を望まないなら彼らの軍事産業全体を破壊する。ロシアはそれを知らなければならない。