なぜロッテは若手育成優先の方針を覆し元阪神の鳥谷敬を電撃獲得したのか…2つの理由と交流戦安打王データ
松本球団部長は、2月のキャンプ中に石垣から沖縄本島に移ったタイミングで鳥谷と極秘交渉を持ち、「戦力として期待している」「若いチームなので色々と若手と引っ張って欲しい」という、この2つの獲得理由を伝え、同意を得たという。 背番号は「00」に決まった。 「できるだけ若い番号を考えたが、埋まってしまっているので、もう一回ゼロからスタートする意味で頑張ろうという話をした」(松本球団本部長)との理由で球団側から提示した。 鳥谷が阪神で背負っていた愛着のある「1」は、生え抜きのベテランの清田育宏がつけていて「0」から「8」までは、すべて埋まっている状態。「9」だけは空いているが、これは、昨季限りで現役を引退した”ミスターロッテ”福浦和也・現2軍ヘッド兼打撃コーチがつけていた番号で、おいそれと渡す番号ではなく、昨年は、レイビン投手がつけており、かつては、諸積兼司や小坂誠(いずれも現ロッテ2軍コーチ)、最近では阪神から人的補償で移籍している高濱卓也ら内野手が背負っていた「00」で再出発することになった。 さて気になる起用法だが、井口監督は「内野は全部守ってもらいたい。そこはまだ本人と話をしていないので、その話も含めて色々と話したい」という。ショートだけでなく、2013年のWBCでは、二塁をしっかりと守り、2017年には三塁でゴールデングラブ賞を獲得した。一塁は未経験だが、松本球団本部長は「本人はファーストだけやったことないと言っていたが十分できると思う」と見ている。 鈴木大地、同様、ユーティリティプレーヤーとしての起用を想定しているのだろう。昨年は、阪神でスタメンは、わずか8試合。主に代打で74試合に出場し、打率.207、4打点の成績しか残せなかったが、松本球団本部長は、「逢った時に見たが体は締まっている。39歳になるが、まだまだ若いものに負けない動きはできるんじゃないか」と評価している。 鳥谷は代打で結果を残すタイプではなく、4打席立ち、四球を拾って打線をつなぎ、守りでの貢献も含め、攻守でシーズンを通じてチームに貢献するトータルプレーヤーである。おそらく井口監督は、そのあたりの適性がわかった上で起用するのだろう。 パ・リーグの野球に適応できるか、どうかの不安も残るが、実は、交流戦での通算安打トップが鳥谷の「331」本である。2位が引退した元ロッテ、楽天、今江敏晃の「311」本で、3位も引退した元広島、阪神、新井貴浩の「307」本。現役では、西武、栗山巧の「297」本、ソフトバンク、内川聖一の「295」本、巨人、坂本勇人の「287」本、ヤクルト、青木宣親の「284」本と、錚々たる顔ぶれが続く。「パの野球に強い」というデータの裏付けも鳥谷獲得の背景にあったのかもしれない。