なぜロッテは若手育成優先の方針を覆し元阪神の鳥谷敬を電撃獲得したのか…2つの理由と交流戦安打王データ
この日、球団方針の変更理由を松本球団本部長は「長いスパンで考えている。若い選手は揃ってきているが、1年、1年が勝負。勝たないといけない。最後はバランスを考え鳥谷君だった」と説明した。 最下位からバトンを受け取った井口体制は、5位、4位と来て今年が勝負の3年目。本気で優勝を狙い、昨年オフにはFAで福田秀平、美馬学を獲得する大型補強を行った。 「若手育成も大事だが、もっと大事なのは優勝」――。それが鳥谷獲得の理由なのだ。。 「今年も7月31日まで補強できる。タイミングがここになっただけ。1年を通じて補強するのがフロントの仕事。去年のオフから(大型補強を)続けるなかで、チームとして、このタイミングがベストだと考えた」と松本球団本部長は付け加えた。 鳥谷獲得のもう一つの理由が、若手への波及効果だ。 「もう一つ(の鳥谷獲得理由)は、うちの選手は若手が多い。鳥谷選手に若手を引っ張ってもらいたい。あれだけの実績があり2000本も打っている選手。若手にとっては鳥谷選手と一緒にできることが財産になる」と松本球団本部長。チームが目指す方向性のバランスを取る上でも、鳥谷は恰好の存在だったと言える。 誰よりも鳥谷を知る井口監督も「球団の方から内野手の補強ということで取っていただきました。実績のある選手ですし、当然戦力として考えていますし、若い選手の模範にもなってほしい。若い頃から一緒に自主トレをやってきて(姿を見ていて)、若手を引っ張っていけると思うし、彼の練習量はおそらく現役で一番。そういうところを後輩に引き継いでいってほしい」と、”鳥谷効果”への期待を口にした。 井口監督の言う「球界一の練習量」は大げさではない。阪神時代に甲子園球場に一番乗りしてアーリーワークをするのが、鳥谷だった。鳥谷に習い、早く球場入りする若手選手も増えた。遠征先の東京、名古屋、広島と各地にトレーニング場所を確保。2013年のWBCでは、サンフランシスコでさえ、ウエイトのできるジムを探して午前中に汗を流し、他の代表選手達を驚かせた。。 令和の時代のトレンドは、「コーチが教える」のではく「身近の選手から学ぶ」である。ソフトバンクや西武を見ればよくわかる。早大で、鳥谷の後輩となる中村が27歳。平均年齢が25、26歳と若い内野を考えると、歴代2位の1939試合連続出場記録に、通算2085安打を誇る”レジェンド”が、彼らに与える影響力は少なくない。