「気分を重視する人」ほど“決断力”がある意外な理由
ビジネスパーソンにとってそれはもっとも避けたいことのひとつです。いざ最終的な結論を出す場面で怖気付くことは、ある意味では人間らしいことなのかもしれません。 ■意思決定とは「人格」である 2つの壁を考慮すると、ご紹介した5つのステップのうち、もっとも簡単なのはステップ④の定量分析なのです。多くのビジネスパーソンは「定量分析による意思決定」の難しさは定量分析にあると思っています。しかし実際はそうではありません。先ほどもお伝えしたように、定量分析とは数学です。数字とロジックを使い、教科書的な解を導くだけ。ある意味でとても簡単な仕事です。
つまり「定量分析による意思決定」の成否は、ステップ②とステップ⑤、つまりご紹介した2つの壁を突破できるかどうかにかかっているのです。 私の「意思決定者の主観、気分、好み、といったものを頼りに基準を設定する」という考え方に違和感を持ったり、異論を唱える人がいます。私もビジネスパーソンでしたから、その違和感はよくわかります。 しかしここで自分が好む、しっくりくるような方向性を定めておかないと、「心」が安定しません。「この基準で思考を進めて意思決定したなら、どんな結果でも納得できる」と自分で思えていないのです。結果、いざ最後に意思決定する際に怖気付くことになります。
そういう意味で、この第1の壁と第2の壁は意思決定者の「心」で密接につながっています。意思決定は数学ではありません。意思決定とは、人格なのです。 この記事をご覧の皆様は、意思決定に悩んでいたり、その解決策として定量分析という選択があることをご存じでしょう。しかしいくら定量分析をセミナーや書籍で学んだとしても、残念ながら、それだけでは意思決定できる人間にはなれません。 ぜひ、意志決定のための5ステップを身近なテーマで試してみてください。まずは意思決定というものがどういうものかを深く理解することから始めましょう。定量分析を学ぶことは、その後からで問題ありません。
深沢 真太郎 :BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家