「気分を重視する人」ほど“決断力”がある意外な理由
まず、決めたいことは「A氏とB氏のどちらに任せるか」です(ステップ①)。そのために使う数値は「過去1年間の数値予測の精度」とし(ステップ②)、過去1年間の予測値と実績値との誤差が小さいほうに任せることにします(ステップ③)。実際に集計してみると、A氏のほうがB氏より誤差が小さいことが判明しました(ステップ④)。そのため、A氏に任せると決めました(ステップ⑤)。 こうして確認してみると、この5ステップは極めて当然のことが表現されていることが伝わるはずです。しかし現実では、このような机上の理論のままスムーズに意思決定できるとは限りません。なぜなら、この5つのステップの中には、その意思決定者が越えなければならない壁が2つ存在するからです。
第1の壁 基準となる「数値」を何にすればよいかがわからない つまり第1の壁とは、「なにをもって決めるのか」が決められないということです。一般論として、ビジネスには正解がありません。ある基準で選ぶならAだが、別の基準で選ぶとBという結論になってしまう、といったことが当たり前のように起こります。ここで悩んでしまい、ステップ③以降の仕事に進めないケースが散見されます。 そんな人にとって重要なことは、「正解はない」ということを強く認識することです。何が正解か、など誰もわかりませんから、何を基準にするかという問いにも正解はありません。
そのため、意思決定者の主観、気分、好み、といったものが頼りになります。たとえば競合他社との比較が好みなのであればその方向で分析を進めるべきであり、自社の過去との比較が妥当だと考えるのであればその方向で分析を進めればいいのです。 第2の壁 いざ最終的な結論を出す場面で失敗を恐れてしまう 第2の壁とは、要するに意思決定すること自体への抵抗や恐怖心に関するものです。一般論として、決めるということはリスクを伴います。結果的に思わしくなければその意思決定は間違っていたと評価されることもあるでしょう。