早くもネット上では、藤川の決断を賞賛する阪神ファンからの声や、驚きの声で騒然となっている。 　阪神DCで評論家の掛布雅之氏も、「藤川らしい素晴らしい決断。藤川の新たなるサクセスストーリーがスタートしたように思える」と、その男気を絶賛した。 「藤川のプライドだったと思う。私には、気持ちがよくわかる。本人は、復活への自信はあるのだろうが、肘の不安を持っている投手が、高額の給料をもらって、今の阪神でプレーすることへの抵抗があったのだろう。生まれ故郷で、もう一度、ゼロから実力で這いあがっていくという思いで決断したのだと思う。藤川の姿がよみがえることを楽しみにしている阪神ファンも多い。新しい藤川が、また来年以降、日本のプロ野球に復帰してくる可能性も高いだろう。今後の藤川の野球というものに注目していきたい」 　 　トミー・ジョン手術をした投手の完全復活には3年かかるとも言われている。藤川は、今季、メジャーで2試合しか投げていないが、連投で結果を出せずに契約解除となった。四国アイランドリーグで投げていく中で、右肘の不安を払拭すれば、来季以降、日本のプロの各球団が、藤川獲得に乗り出すことは間違いない。 　藤川の場合、高知との契約が切れると、フリーエージェント扱いとなって各球団の交渉が可能になる。今回、獲得オファーを出して、実際に交渉テーブルに乗った阪神も、引き続き、藤川の動向をマークしていく方向性を固めている。藤川が、高知で完全復活をアピールすれば、右肘不安のある投手を獲得することに対する不透明さや、リスクは減って、阪神のチーム内外にあった不要論も消すことができる。掛布氏の言うように月給10数万円での復活を選んだ藤川の“男気決断”は、新たなる藤川伝説の始まりになるのかもしれない。 （文責・本郷陽一／論スポ、スポーツタイムズ通信社）