【図形問題】長方形ABCDの辺AB、CDに逆向きの矢印を付けました。矢印の向きをそろえて「同一視」するとできる図形は?ただし新図形は自己接触しません!
矢印の向きを交互にすると、できる図形は?
さらに、紙工作を続けます。今回も横方向が長い長方形を用意します。まわりの辺だけでなく中身もあります。ただし、この長方形では、辺AB、辺CDの矢印の向きを逆にします(図8)。これが問題文の図形です。 では、この長方形の辺BAと辺DCを矢印の向きが合うように同一視すると、どのような図形になるでしょうか? ただし新図形は自己接触しないようにします。
長方形をABCDを半捻りする!?
まず、この長方形の辺ABと辺DC を矢印の向きが合うように貼りましょう。 この場合、矢印の向きをそろえるために辺DCを180度捻るようにして、点Aと点C、点Bと点Dが重なります(図9)。 これは有名なメビウスの帯(輪)です。アニュラスの場合と違って「半捻り」(180度捻り)しています。 メビウス(1790-1868)は偉大な数学者の名前です。この図形に関する主要な研究をしたことから彼の名を冠しています。メビウスの帯というと、SF小説や映画で見聞きしたことがあると思います。筆者が見たことのあるSF映画では、異次元空間への移動手段としてメビウスの帯が使われていました。 以前の記事で「超弦理論」の話をしました。じつは、複数の超弦が反応するときに途中の状態(世界面)がメビウスの帯になることもあると考えられています。 このメビウスの帯には不思議な性質があるので、以降の記事でいくつか紹介していくことにします。
小笠 英志(数学者)