「反日教育」の恐怖を中国人マンガ家が告発 「日本人学校10歳男児刺殺事件」の背景 「このままではまた日本人が」
9月18日、中国広東省深セン市で日本人学校に通う10歳の男子児童が、44歳の中国人の男に刃物で刺殺されるという痛ましい事件が発生した。事件当日は、満州事変の発端となった「柳条湖事件」(1931年)から93年目にあたる日だったこともあり、反日感情との関係が指摘されている。 【写真を見る】皮肉にも日本のアニメの影響を受けている「抗日ドラマ」 恐るべき実態「反日教育」の実態 日中戦争の終結から来年で80年、GDPでも日本を抜き去り世界第2位の大国に躍り出た中国で、今でも反日感情が収まらないのはなぜなのか。 「その背景にあるのが、反日教育と抗日ドラマです」――そう指摘するのは、中国出身の風刺漫画家・辣椒(ラージャオ)さんである。辣椒さんは2017年に刊行した『マンガで読む 嘘つき中国共産党』(新潮社)の中で、反日教育や抗日ドラマの実情を詳しく紹介している。以下、辣椒さんに話を聞いた。 *** 私は1973年に中国で生まれました。子どもの頃は、とくに反日感情が広まっていた記憶はありません。マンガにも書いたように、むしろ日本の映画やドラマが大人気で、高倉健さんや山口百恵さんにみんな夢中でした。
潮目が変わったのは、1989年に天安門事件が起きてからです。趙紫陽が失脚し、江沢民が共産党の総書記に就任すると、愛国教育が徹底され、その一環として反日教育も盛んになりました。
また「抗日ドラマ」も盛んに制作されるようになります。抗日ドラマとは中国特有のジャンルで、もっぱら「日本の侵略戦争に対して、中国人が立ち向かう」というストーリーを扱います。
21世紀に入ってからも、抗日ドラマがその他の現代劇や時代劇を超える高視聴率を稼いでいました。実はこの流れも、中国共産党によって意図的に作られたものでした。
皮肉なのは、抗日ドラマの多くが、日本のマンガ作品やアニメ作品の影響を大きく受けて作られていることです。
抗日ドラマの多くは荒唐無稽な内容ですし、そのような「娯楽作品」にいちいち目くじらを立てる必要はないと考える人もいるかもしれません。しかし、天安門事件以降に生まれた若い世代と話していると、中国共産党の都合の良い歴史観によってすっかり洗脳されてしまっていて、驚くことがあります。