風呂キャンセル界隈も納得? LIXILの“布製”浴槽がマンション浴室を自由にする理由、企画した本人に聞いた
2024年の「新語・流行語大賞」のトップテンに「界隈」がランクインした。5月ごろには、風呂に入るのを面倒でやめてしまう人たちを指す「風呂キャンセル界隈」という言葉も話題になった。 fabric bathは、取り外すと広々としたシャワースペースができ、壁に掛けて湯を貯めれば入浴できる 住宅機器メーカーのLIXILが2022年に行った調査によると、浴槽に毎日入る人は47.4%と半数を割っており、浴槽に週1、2回に入る人は11.5%、シャワーのみに毎日入る人は22.7%。風呂をキャンセルしないまでも、浴槽に入らずシャワーをメインとするライフスタイルが広がっている。 このライフスタイルの変化に合わせてLIXILが11月26日に発売したのが、布製で折りたたんで取り外し可能な浴槽を備えた浴室「bathtope(バストープ)」だ。浴槽を折りたたむことでシャワールームを広く使え、さらに浴槽にも入れる。そこでbathtopeを企画開発した担当者に開発の経緯と、製品ターゲットや展望について話を聞いた。
シャワー派の増加にコロナ禍が後押し
bathtopeは、取り外せる布製の浴槽「fabric bath」を採用したシステムバスで、水回り・タイル国内事業で100周年を迎えたLIXILが、次の100年に向けて創設した新ブランドだ。「お風呂はもっと、自由でいい。」をコンセプトに開発された製品で、浴槽を折りたたんで収納できるため、浴室を広く使える。湯船に浸かりたいときは、浴槽を広げて壁に取り付け、お湯を張れば入浴できる。 bathtopeの発案者の長瀬さんは、長く浴室や水回りを担当しており、さまざまなアイデアがあったと語る。 「LIXILには、さまざまなイノベーション創発の取り組みがあります。その中で、2021年に『ミライBOX』という新しいコンセプトの公募があり、そこにbathtopeを応募しました。それ以前からライフスタイルの多様化により、シャワーだけで済ます人が増えてきていると感じていました。しかし日本人である以上、浴槽はなくせない。そんなニーズに対応できるプロダクトはつくれないかと考え、応募しました」(長瀬さん) 2021年は、コロナ禍により在宅時間が増えたことでDIYやプチリフォームをするなど、住んでいる家をより快適にしたい人が増えてきたタイミングだった。そこで長瀬さんが生み出したのが、シャワールームと使いたいときだけ設置できる浴槽の組み合わせだった。そしてこのbathtopeは、コンセプトが評価され、ブランド創設と製品化につながった。