【MLB】ニグロリーグが公式記録に追加 率系スタッツの上位に大きな変動 ジョシュ・ギブソンが歴代OPSトップに
MLB機構は2020年の時点でニグロリーグの記録をMLBの公式記録として扱う方針を発表していたが、約3年にわたる調査を終え、日本時間5月30日に米公式サイト「MLB.com」にもニグロリーグの記録が反映された。公式記録として扱われるのは1920年から1948年までに存在していた7つのリーグであり、全試合のうち約75%の記録が復元されたと考えられている。データの調査を担当した委員会は今回更新されたデータベースを「バージョン1.0」と呼んでおり、今後のさらなる調査の結果、記録が更新されていく可能性も残されている。 ニグロリーグの記録をMLBの公式記録として扱うのは、不当な理由でMLBから排除されていた黒人選手たちの存在を認めるべきだということが最大の理由である。また、2020年のMLBが新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で60試合の短縮シーズンとなったことも「試合数が少なかったニグロリーグを公式記録に含める」ということを後押ししたようだ。60試合の短縮シーズンを正当なシーズンとして扱うのであれば、試合数が少なかったニグロリーグを公式記録として扱っても問題ないという考え方である。 ニグロリーグは試合数が少なかったため、積算系スタッツで上位に名を連ねる選手はいない。しかし、率系スタッツでは突出した数字を残した選手たちがおり、各部門の上位にニグロリーグの名選手たちがランクインしている。米公式サイト「MLB.com」によると、通算成績ランキングの対象となるための基準は、MLBの選手は通算5000打席・2000イニングと定められているが、ニグロリーグの選手は1800打席・600イニングに設定されているという。 通算打率ランキングでは、ジョシュ・ギブソン(.372)がタイ・カッブ(.367)を抜いて歴代1位に。オスカー・チャールストン(.363)が3位、ジュド・ウィルソン(.350)が5位、ターキー・スターンズ(.348)が6位、バック・レナード(.345)が8位とニグロリーグの選手がトップ10の半数を占めることになった。 通算出塁率は、テッド・ウィリアムス(.482)の1位、ベーブ・ルース(.474)の2位は変わらず、ギブソン(.459)が3位にランクイン。レナード(.452)も5位に名を連ねている。 通算長打率は、ギブソン(.718)がルース(.690)を抜いて歴代1位に。通算OPSでもギブソン(1.177)がルース(1.164)を抜いて歴代1位に君臨することになった。 シーズン成績でも、ギブソンが1943年にマークした打率.466が歴代1位に。出塁率は2004年のバリー・ボンズの.609が1位のままだが、長打率は1937年のギブソンの.974が1位、OPSも1937年のギブソンの1.474が歴代1位となっている。 打撃成績に比べると、投球成績にはそれほど目立った変化はない。通算防御率ランキングは、8位にデーブ・ブラウン(2.24)がランクインしたくらいだ。ただし、シーズン防御率ランキングでは、1944年に防御率1.01をマークしたサッチェル・ペイジが歴代3位となっている。また、1940年のジョージ・ウォーカーが記録したWHIP0.73も2000年のペドロ・マルティネス(0.74)を上回り、歴代1位の記録である。