斎藤元彦知事問題で「女性社長が盛った」は本当なのか…弁護士会見が残したナゾと検証すべきこと
SNS理解していない斎藤氏側がSNS操った疑問
また、「SNS戦略を決めたのは女性社長ではなく斎藤陣営だ」と主張しながらも、その「斎藤陣営」の実態について弁護士は「私が確認したところ、今回の知事選挙において、いわゆる総括責任者であったり、選挙の主宰者であると目される人物がいないという風に聞いております」と説明した。 つまり「斎藤陣営」には、はっきりした組織はなく「上司」もいなかったというのだ。とするとSNSに詳しい女性社長に対して、上から指示を出しSNS戦略を監修する「斎藤陣営幹部」など存在したのか。斎藤氏本人のSNSに関する知識については、斎藤氏の弁護士がこう明かしている。 「斎藤氏自身も言っておりましてけど、女性社長から説明を聞くまで、斎藤氏が『SNSが何に当たるのか』『それがどういう利用の仕方があるのか』というのを、皆目、理解されていなかったんだと思います」 SNSについて「皆目」理解していなかった斎藤氏側が、専門家である女性社長の監修なくSNSを操ることができたのか。大きな疑問が残る。 そして、私が驚いたのは会見に向けた事実確認の方法だった。 「まず斎藤氏本人からが、一番聞いております」 そう答えた弁護士は、これまでに斎藤氏とその側近ら計4人からしか話を聞いていないと述べた。そんな一方的と思える情報を基に女性社長の投稿を「盛っている」と決めつけていいのか。 斎藤元彦氏を応援していたはずの女性社長は、斎藤氏からねぎらいの言葉をかけてもらう代わりに「ウソを発表したキラキラした女性」ということにされつつある。しかし、選挙戦の真相を明らかにする証拠はまだ出されておらず、女性社長を「ウソつき」と決めつけることはできないはずだ。 真実はどこにあるのか。「盛った」というフレーズに流されることなく、証拠を基に冷静に検証しなければならないと思う。 □西脇亨輔(にしわき・きょうすけ)1970年10月5日、千葉・八千代市生まれ。東京大法学部在学中の92年に司法試験合格。司法修習を終えた後、95年4月にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社。『ニュースステーション』『やじうま』『ワイドスクランブル』などの番組を担当した後、2007年に法務部へ異動。社内問題解決に加え社外の刑事事件も担当し、強制わいせつ罪、覚せい剤取締法違反などの事件で被告を無罪に導いた。23年3月、国際政治学者の三浦瑠麗氏を提訴した名誉毀損裁判で勝訴確定。同6月、『孤闘 三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎刊)を上梓。同7月、法務部長に昇進するも「木原事件」の取材を進めることも踏まえ、同11月にテレビ朝日を自主退職。同月、西脇亨輔法律事務所を設立。今年4月末には、YouTube『西脇亨輔チャンネル』を開設した。
西脇亨輔