USJ再生の立役者「刀」森岡毅CEO 食品市場でもヒット生む極意【WBS】
昭和レトロ感を打ち出した「西武園ゆうえんち」や最新技術で没入感を楽しめる「イマーシブ・フォート東京」。エンターテインメント業界で、こうしたヒットを生み出してきたのが、マーケティング会社「刀」を率いる森岡毅さんです。今度は、スパゲッティなどを手掛ける食品メーカー「ニップン」と協業し、成熟市場でも売り上げを伸ばしているそうです。その秘訣を明かしてくれました。 「一人一人のニップン社員にマーケティングノウハウを会得してもらう」(「刀」の森岡毅CEO) 20日、都内で開かれた発表会。食品メーカーのニップンがマーケティング戦略を支援する企業「刀」との協業を明らかにしました。刀は2000年代に低迷していたユニバーサル・スタジオ・ジャパンを再生した立役者、森岡氏が創業。消費者のニーズを汲み取った独創的な提案を続けてきました。 今回の協業の背景にあったのは成熟市場である食品業界の危機感です。 「われわれの市場は大きな変化を起こすことが必ずしも簡単ではない。マーケティングがやはり大事だと」(ニップンの前鶴俊哉社長) どうにか事業を拡大しようと2022年から刀と組んで商品開発を始めたのです。 「消費者を理解するための力が社内に浸透し、売上高など一定の成果が出始めている」(ニップンの前鶴社長) 実際にどんな取り組みが行われているのでしょうか。 刀とニップンは販売中の商品の試食会を定期的に実施し、自分たちの認識と消費者の声との乖離を検証しています。こちらで食べているのは、今年発売したもちっとした食感を打ち出したスパゲッティの乾麺。 「消費者はどういうビジュアルがあると『もちっ』と感じてくれるのか」(刀の社員)
既にパッケージをともに考え、売り上げに繋がった事例もあります こちらの冷凍スパゲティ。リニューアル前のパッケージでは、紙のトレーに入った写真を載せ、食器を使わず食べられるという利便性を打ち出していました。 しかし「この商品を買っていた理由は紙トレーの便利さより、本当はおいしかったことだと分かった。おいしいと評価してくれているところをもっと伸ばしましょうと」(「刀」シニアエグゼクティブディレクターの阿部一貴さん)。 消費者の声を受け、武器だと思っていた紙のトレーの写真を削除。さらに文字も減らし、料理の写真を大きくしておいしさを前面に押し出しました。こうした取り組みの結果、冷凍スパゲッティの売り上げは1年前と比べ2割増えました。 「作り手側が良いと思うものと、本当に消費者が欲しているものは違う。消費者が本質的に求めてるもの、より求めてるものを提供を続けられるか。そのアイデアが出ないからマーケットは成熟、あるいは停滞する」(森岡CEO) 森岡さんはマーケティング次第で大きく伸びる日本企業がたくさんあると強調します。 「本質的なマーケティングはどのカテゴリー、ブランド、国においても全部共通。多くの成熟市場、あるいは成熟したと思われているブランド、停滞しているブランドが再成長を始めるのが私が信じていること」(森岡CEO) ※ワールドビジネスサテライト