韓国大統領「内乱企て」と野党批判 44年ぶり「非常戒厳令」を宣布
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3日夜、緊急の談話を発表し、国会での野党の行為が「内乱を企てる明白な反国家行為だ」と指弾。「非常戒厳を宣布する」と表明した。 【写真】非常戒厳令、抗議するため韓国国会に集まる市民と警察 韓国軍によると、金竜顕国防相は軍に対し、非常警戒と態勢強化を指示した。ただ、尹政権が具体的にどのような措置を取るのかは不明だ。 尹氏の突然の表明に、与党「国民の力」も強く反発している。同党の韓東勲代表は尹氏の会見終了直後、「非常戒厳令は間違っている。国民と共に阻止する」との声明を発表した。 国会では最大野党「共に民主党」が過半数を占めている。国会の委員会では11月下旬、来年度の予算案のうち一部を野党が削減して可決。また検事や政府幹部らの弾劾を試みている。尹氏はこうした野党の攻勢に耐えきれず、「非常戒厳」という極端な手法に打って出たとみられる。 尹氏は野党を念頭に「韓国国会は犯罪者集団の巣窟となり、立法独裁を通じて国家の司法・行政システムをまひさせ、自由民主主義体制の転覆を企てている」と一方的に批判。「できるだけ早い時期に反国家勢力を撲滅し、国家を正常化させる」と訴えた。 「中央日報」によると、戒厳令は1980年5月に実質的に権力を掌握していた全斗煥国軍保安司令官が宣言して以来、44年ぶり。「朝鮮日報」によると、戒厳令は憲法で定められている。非常戒厳令では、「戒厳司令官」が戒厳地域内の全ての行政事務と司法事務を掌握する。【ソウル日下部元美】