「車内で嘔吐」“忘年会シーズン”にタクシードライバーを悩ませるカスハラ問題! 進む対策、悪質客はもう乗れなくなる?
タクシー事故を防ぐ言葉の使い方
しかし、自分では気づかないうちに、カスハラに該当する行為をしてしまうことがあるかもしれない。例えば、軽い冗談や命令口調の言葉が、年齢や性別によってドライバーにストレスを与えることがある。 また、乗車してすぐに「○○まで急いで」「○○時までに着きたいから飛ばして」「取りあえずまっすぐ行って」といった指示を出す乗客もいるが、 「急いで」 「飛ばして」 「取りあえず」 「まっすぐ」 これらの言葉はドライバーにとって緊張や不安を引き起こし、ストレスとなることがある。タクシーに乗る理由として、急いでいるからという場合が多いだろうが、その急いでいる乗客自身が知らず知らずに高圧的な態度や命令口調になり、その結果、ドライバーが動揺して事故を誘発する原因となることがある。その言葉で自分の安全も脅かされる可能性があるのだ。 では、どうすればよいのか。 ・曖昧な言葉を避ける ・目的地を明確に伝える ことが大切だ。急いでいるのであれば、 「道路交通法を守って」 「安全を優先して」 「できるだけでいい」 という言葉を添えるとよいだろう。ドライバーも人間なので、誠意を持って対応してくれるだろう。自分も相手も気持ちよく目的地に到達するためにはどうすればよいかを考えてみよう。 「ビジネスとしても生かせるこの課題」 を、タクシー車内で実際に試してみるのはどうだろうか。
悪質客はタクシーに乗れなくなる時代
タクシー業界では、カスハラ客に対して毅然(きぜん)とした対応を取るようになっているが、カスハラ客を認定する基準はまだ曖昧な部分がある。今後は、カスハラ客と認定するための明確な基準が必要だろう。 現在、多くの配車アプリでは、乗客からしかドライバーを評価できないが、ウーバーではドライバーが乗客を評価できるシステムがある。このシステムでは、評価が悪い乗客にはマッチング率が低くなるなどのペナルティーが課せられる。 今後、他の配車アプリでも同様のシステムが導入される可能性があり、カスハラ客と認定されると、マッチング率の低下や、ひどいカスハラ客の場合は 「タクシーに乗れなくなる」 こともあるだろう。 カスハラ問題はタクシー業界だけでなく、社会全体で解決すべき課題だ。業界全体として、さらに強化されたカスハラ対策や、乗客とドライバーが安心してサービスを利用できる環境づくりが求められる。相手への配慮を持った行動を心掛けることで、業界全体の改善に貢献できることを伝えたい。
二階堂運人(物流ライター)