来年の抱負は?私欲で生きる人にならない「幸せな目標」の作り方とは
2024年も終わりが近づいてきました。今年を振り返り、来年以降の目標を考える人も多いかもしれません。そのときには、ぜひ「期限のない目標」について考えてみてほしいと思います。(作家・ファンセールスコンサルタント 和田裕美) ● 「期限なしの目標」を 考えたことがあるか 1年の終わりが近づいていて、今年を振り返り、新たな目標について考え始めている人も多いかもしれません。 目標にはいろいろあると思うのですが、私は大きく分けて「期限を決めて全うすること」と、「期限を決めずに継続させること」の二つの種類があると考えています。もっといえば、人生における目標は、「生きている間に達成できること」と「自分が亡くなってからも続くこと」の二つに分かれるのです。 例えば、山を切り開いてソーラーパネルをたくさん設置して電力を賄うというのは、現在の人間が現在の人間の利益に対して行っていることだといえます。しかし、それをした結果、100年後の山はどうなっているでしょうか。元の緑には簡単には戻らないでしょう。 そして、そのことに気付いて今から未来の環境のために動く人たちは、それが実現する頃には存在することができません。実現するのは何百年後の未来になってしまうわけですから。 「生きている間に達成できること」と「自分が亡くなってからも続くこと」――前者だけしか意識していない人は「私たちの世代は、何とか逃げ切れる」という私欲にまみれた目標を作りがちです。 今年大ヒットしたNHKの連続テレビ小説『虎に翼』は、日本で初めて女性の弁護士となった方のお話ですが、舞台である昭和初期はそんな人が現れるなんて、誰も想像していなかったでしょう。しかし、今私たちが生きている現在では、女性の弁護士は大勢いらっしゃいますよね。人生をかけて未来を作った人がいたから、訪れた今があります。
サグラダファミリアのように、作っている人はその完成を見られない。けれど、いつか後世で完成する未来のために作り続けている――。この先の未来をもっと生きやすく、明るいものにするためには、今を生きる自分と自分たちの世代だけにとらわれない「持続性のある目標」が必要なんだと思います。 それは、今動いたことがすぐ結果につながることではないでしょう。ただ、そうした期限を決めない目標に向かって頑張れる人が増えれば、未来の社会がよくなるのは間違いないと思います。 ● もしも寿命がなかったら 何を大切に生きるか 人間にとって、一番の幸せは「自分以外のために、やりたいことがある」状態だと私は思います。この「自分以外のため」がないと、期限付きの目標のなかで私欲のために人生を最大化しようと模索してしまう。今はよくても、年齢を重ねていくにつれて「自分のため」は「つらさ」に変わっていきます。 「やりたいこと」でなかったとしても、自分を必要としてくれる「やるべきこと」があればいいんです。 例えば、介護や育児はとても大変なことです。その最中には、苦労が先行してしまうことも多いでしょう。 ですが、それらが必要とされなくなった後に気付くのです。必要としてくれる誰かのために「じゃあ自分は何ができるのか?」を追い求めることが、すばらしい生きがいであることに。 おいしいものを食べて、きれいな景色を見て、好きなテレビや映画を観て、そんな楽しい娯楽も素敵ですが、40年も50年も興味はもたないでしょう。 「自分が生きているあと何十年以内にできること」と考えると、たいていの人は「自分のため」にできることを探します。 20~30代など若い頃は、それが未来につながるワクワクする目標になります。ただ、50歳、60歳を超えて、その先にあることに同じようにワクワクできる人は多くありません。誰だって少なからず、寿命という期限が見えてきて、「期限内には達成できないこと」を認識し始めるのです。 だからこそ、「達成しなくてもいい目標」があってもいいんじゃないかと、私は思います。生きている間に達成しなくてもいい目標。達成に向かうプロセス自体を楽しめるような、そういう何かを見つける人生こそが、一番幸せなのではないでしょうか。