選挙報道の現実と課題~有権者が既存メディアに不信を抱き、SNSへの依存を高める理由~【調査情報デジタル】
実際に視聴者がどちらを深く視聴するのかはこの数字だけではわからないが、兵庫県知事選では多くの有権者がテレビとSNSを対照的な存在としてコメントしていたことが思い出される。 「テレビはぴたっと報道しなくなったけど、(YouTubeなど) SNSで探せばもっと詳しい情報がたくさんあった」 「テレビは何か嘘があるのか本当のことを言わないけれどSNSは本当のことを言ってくれる」 そう感じて斎藤元彦氏に投票した有権者は少なくない。 ReHacQだけではない。PIVOTやNewsPicks、選挙ドットコムちゃんねるなど、SNS経由ではそれぞれ独立したメディアたちが活動している。それらを総計すれば、テレビの放送時間などをはるかに超えるくらいの動画などのコンテンツがSNSには存在している。 ReHacQなどの動画を探して視聴していたら、その流れで「選挙まであと3日 石丸伸二氏が語る政治」というタイトルの動画を見つけた。面白い。あの石丸氏に話させるのか・・・と思ってみたら、それは石丸氏がよく登場するReHacQではなく、毎日放送のYouTubeチャンネルだった。関西ローカルの番組で放送した特集映像をYouTubeで視聴できるようにしていた。ただ、残念なことにわずか5分あまり。滋賀県でのトライアスロンに出場した石丸氏にインタビューをして3日後に投開票が迫った衆院選について感想を聞いている。 「よくある国政選挙になって非常に残念な気もしている」と石丸氏。 ReHacQならば1時間以上のトークにできるはずだ。せっかくの石丸氏の登場なのにもったいない。今のテレビ局の選挙報道のコンテンツはどうしても地上波の放送尺で映像をつくってそれを配信するので、物足りないものになってしまう。それゆえ魅力が乏しいのだ。 今後、来年の参議院議員選挙などでテレビ局もネットでの「報道」をもっと充実させるためには、ReHacQなどのように長い尺で「見やすい」配信コンテンツを出していく必要がある。現状でテレビ局が国政選挙などの際に有権者に向けて出すとしたら、本来ならば信頼性が高いテレビ局が本気でReHacQのような選挙コンテンツを参考にして、より長尺で魅力的な選挙コンテンツ作りに取り組んでいくしかないのではないか。