選挙報道の現実と課題~有権者が既存メディアに不信を抱き、SNSへの依存を高める理由~【調査情報デジタル】
選挙期間中の選挙報道の内容を見ると、ニュース番組の中では「注目の選挙区」というこれまでの相変わらずの「定番の報道」を繰り返している番組も目についた。しかも、かつては同じ局でも夕方の番組と夜の番組で別々に取材するという競争意識が強かったが最近は夕方と夜のニュースで同じ映像を使い回すリピートも目立つ。 ■テレビ各局は「ネット活用」「ネット戦略」をどこまで伝えていたのか? 2024年の選挙報道のありようとして注目された「ネットの連動」については、報道のたびに「詳しいことはこちらでご確認ください」と「選挙特設サイト」のQRコードに誘導していたのがNHK。同じようにJX通信とコラボして作成したネット上の「候補者アンケート」を告知し、視聴者が自分に近い政党を選ぶことができるツールを提供していたのが日テレ。また世論調査などの調査内容のサイトを紹介したり、有権者にオンラインでアンケートをしたりと工夫していたのがTBSだった。 主要なニュース番組の中で「SNS戦略」などについて特集していたかどうかをまとめたのが【図表7】で、日テレとTBSの2局が報道していた。 たとえばTBSの「Nスタ」は10月15日の放送で、最近の選挙活動でのSNS戦略としてショート動画を使うやり方が増えてきていることなどを紹介している。また自分と考えが近い政党や候補者を選ぶことができるサイトなどを紹介した。日テレは10月25日に「ブロードリスニング」という分析方法でXでの「選挙」「衆院選」などの“つぶやき”をAIが可視化させて分析した内容を紹介した。 日テレも先述したTBSもコメンテーターとして都知事選に出馬して5位の得票を集めたAIエンジニアで起業家でもある安野貴博氏を起用している点で共通していた。 SNSで様々なサイトが乱立する時代にどういうコンテンツが信頼できるのかなどを紹介するこうした報道は今度ますます必要になってくるに違いない。