このままでは飼殺しにされる…50代に思い切って「フリーランス転向」した元大企業・技術職男性、70歳を超えても活躍できるワケ【キャリアコンサルタントが解説】
40代から社外の人と積極的に仕事をすることの重要性
では実際、もともと企業出身者だった人のなかで、高齢になってもフリーランスとして活躍している人はどのような経緯でそのようなキャリアに至ったのでしょうか。 ここでは、筆者が過去、70歳を超えても、フリーランスとして活躍をしているAさん(大手企業出身の技術職で役職定年を機に退職)にインタビューをさせていただいた話をご紹介します。 Aさんが、そもそも社外に目を向けたのは、40代初めのころに、嫌な上司と出会ってしまったことがきっかけだったと聞きます。そのときに、このまま会社にいるのではなく、外に出ることを考えるようになったそうです。 しかし、急に外に出るといっても、自分の名前が知られていなければ、転職先も見つからず、出ていくことはできません。まずは、その当時の勤め先の仕事を続けながらも、より外の人間関係にも目を向けた仕事の仕方に切り替え、声を掛けられた社外の活動に積極的に参加をし始めたといいます。 そのように仕事の仕方が変わったことで、社外とのネットワークが広がり、会社を辞めたあとにも仕事のチャンスをもらえるようになったそうです。そしてついに、50代に差し掛かったころ、長く勤めた会社を退職し、新たなキャリアへと踏み出しました。 そのため、ご自身の経験を踏まえて、40代からはどう生きるべきかを考え、その準備をすることの大切さを指摘していました。 Aさんからは、「自分自身は、役職定年のある会社だったので、役職定年になったあとは、組織のなかで飼殺しにされて、65歳まで残っていてもやることがないということが見えていた。迎合して生きるのが好きな人はそのまま会社に残り、飼殺しにされていればよい。しかし、過去勤めていた会社で優秀な人たちの多くが、40代ぐらいから社内ではなく、社外の人たちと仕事をしているのを見てきた。結果として、そのような仕事の仕方をしていた人たちのほうが、長く活躍をしていると感じる」という話もお伺いしました。 厚生労働省※4によれば、男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87.09年です。仮に60歳ぐらいで勤め先を退職しても、健康であれば、約10~20年くらいは、働くことができる可能性があります。 現役で企業に勤めているうちは、勤め先内容の人事評価に一喜一憂したり、キャリアへの諦めを感じている人もいるかもしれません。しかし、より人生を長い視点でとらえ直してみると、現在の仕事に対する取り組み方は変わってくるのではないでしょうか。 ※1 https://www.freelance-jp.org/ ※2 https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2020/06/2020_0612_hakusho.pdf ※3 「令和4年就業構造基本調査(総務省統計局)」(令和5年7月21日) ※4 厚生労働省「令和4年簡易生命表」 小島 明子 日本総合研究所創発戦略センター スペシャリスト
小島 明子