【独自解説】大阪のIR計画、万博期間中の工事中問題が決着 “白紙”の危機回避も…続くイバラの道 一番の問題は不明瞭な責任の所在
大阪の人工島・夢洲にある万博会場のすぐそばで、現在、整備が進められているのが、カジノを含む統合型リゾートのIRです。2030年秋ごろの開業を目指していて、その経済波及効果は1年間で1兆円以上とも言われていますが、この夏、“騒音問題”などにより「万博期間中のIR工事の中断」を求める声があがり、最悪の場合、“白紙”になることが危ぶまれる事態になっていました。 前途多難な「IR計画」、この先、無事に進んでいくのか?現場を取材してきた平田博一記者が徹底解説します。 【キシャ解説】大阪「IR計画」まだまだ続くイバラの道…工事の騒音をめぐる万博側とのイザコザで“白紙”の危機も
■万博vsIR 騒音問題は解決も、不明瞭な責任の所在が露呈
今回大きな問題となっていたのが、「万博開幕中のIRの建設工事」をどうするかという問題でした。 IRを巡ってはこれまで、事業者側に「解除権」というものが設けられていて、「条件が整わなかったら事業者が撤退できる」状況になっていました。そのため、計画とは異なり、「万博期間中にIRの建設工事ができない」という事態になれば、「最悪の場合、IR計画が“白紙”になってしまうのではないか」という懸念があったのですが、今回、万博期間中もIRの工事を続けられることになったため、業者側は「解除権」を放棄。つまり、2030年秋の開業を目指して、今後、本格的に建設工事が進むことになりました。 この夏の約2か月間、裏側では一体どのようなことが起きていたのか、解説します。
2024年6月、万博の国際会議が日本で行われ、その際に万博の国際機関である博覧会国際事務局(BIE)のトップ・ケルケンツェス事務局長が、「万博期間中にIRの工事をするということは、私は聞いていない」と言ったのが今回の問題の発端となりました。これを受け、日本の万博協会も「万博期間中はIR工事を中断できないか」と大阪府・市などに要請することになったのです。
一方で、IRを進める大阪府・市側はIRの建設工事のスケジュールはそもそも国の認可をもらって進めているものなので、「いまさら、『工事を止めろ』というのはおかしい」と主張。IR側と万博側で意見が“対立”するような構造になっていました。
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