【独自解説】大阪のIR計画、万博期間中の工事中問題が決着 “白紙”の危機回避も…続くイバラの道 一番の問題は不明瞭な責任の所在
IRの工事を巡って一番大きな問題となっていたのが“騒音問題”でした。万博協会側は、万博期間中に工事を続けると騒音や景観の悪化などで万博に“マイナスの影響”が出る可能性があるということで、工事の中断を求めたのです。
大きな展開を迎えたのが8月末です。関係者によりますと、博覧会国際事務局(BIE)・ケルケンツェス事務局長が再び来日した際に、「録音した工事の音」を聞いてもらったということです。これを聞いたケルケンツェス事務局長は「この程度だったら問題ないのではないか」ということで、一気に前進することに。その工事の騒音の大きさというのは、だいたい「博物館の中くらいの音レベル」だったということです。
ただ、この問題はすでにかなり大きくなっていて、大阪府・市と万博協会の間では収まらず、途中で国も介入することになりました。ケルケンツェス事務局長から「IR工事に待ったの声」があがった後、自見万博担当相や斎藤経産相は、相次いで「万博の会期中は万博の成功が最優先」と発言するなど、ケルケンツェス事務局長の意向に沿うような態度を示していました。 最終的には、建設工事の中でも騒音が大きいとされる「杭を打つ工事」のピークを閉幕後にずらすなどの追加の騒音対策を行うことで、「万博期間中もIR工事を続ける」ことに合意したのです。
今回の一連の騒動について、ある関係者からは、「音を聞いてもらって解決できるレベルの話なら、これぐらいは万博協会がしっかりとケルケンツェス事務局長に説明をして調整してほしい」という声が聞かれました。
さらに別の関係者からは、「誰が責任を持ってIRの計画を前に進めているのか?誰も責任を取ってくれない」という声も聞こえてきました。
今回の一連の騒動に関して、9月10日、大阪府の吉村知事は「誰が責任という話ではなくて、もっと情報共有をすべきだった」と話しました。万博期間中のIR工事をどうするかというのは、大阪府・市や万博協会の間では、2~3年前からずっと調整が続けられていたもので、関係者の間で適切に情報共有がされていれば、急遽、計画とは異なる対応を迫られるような混乱が起きることにはならなかったのではないかと思います。
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