【ライブレポート】原因は自分にある。『ARENA LIVE 2024 白昼夢への招待』での確信「僕らと観測者のみんななら絶対に夢を叶えられる」
2025年全国ツアー&ワンマンライブ決定
終盤戦は『ケイカクドオリ』から。客席に降り、歩きながら歌うメンバーたち。客席の間を練り歩くように歌い、踊る彼らを見ていると「誰一人置いていかない」という言葉通りのパフォーマンスをしてくれていると信頼が増幅する。観測者たちを背景に歌う彼らにとっては、客席もステージとなり得る。 続く『Joy to the world』では、客席内に設置された高台に上がってパフォーマンスするメンバーたち。立ち位置をばらけさせたげんじぶたちを前に、もう視線を固定することもままならない。すでに最高潮まで引き上げられた熱だが、沸点は存在しないことを思い知らされる。『マルチバース・アドベンチャー』では、小泉の「まだまだ楽しんでいきましょう!」の声掛けに合わせ、メンバーそれぞれが手にしたバズーカを模した発射装置から、客席へボールが打ち込まれた。 桜木が「みんな愛してるぜ!」と愛を言葉にし、長野が「これからも一緒に進んでくれるなら、君たちの手を離しません!」と宣言する。吉澤が「みんなに会えて、本当に良かった!」と言ったのを聞いて、どれだけの観測者が心のなかで同調しただろう。 『THE EMPATHY』で会場中を巻き込むクラップ、さらに体温を高めていく。心なしか、げんじぶ全員の目が潤んでいるように見える。しかし今夜のテーマは大倉の言うように「しんみりしない」なのだ。彼らの思いを受け取り、共鳴しているからこそ、観測者たちはペンライトを振る手を止めない。杢代が「ありがとう観測者、最後まで盛り上がっていこうぜ!」と背を押すように口にすると、楽曲は『柘榴』『無限シニシズム』『Museum:0』『0to1の幻想』へと連なっていく。 『柘榴』は彼らの世界観が凝縮し、その果てに爆発したような曲だ。観測者は一人残らず、自ら望んで迷宮へと足を踏み入れる。げんじぶの存在が最大限に、極限まで刻み付けられていく過程には、どこか恐怖さえ滲むようだ。しかし、陶酔さえ感じさせる絶妙なバランスで匂い立つ映像。それを背負い、げんじぶの面々は自分自身と他のメンバーたち、そして観測者全員を信じて歌い、踊り続ける。 一秒ずつ時を刻む針の音は、今夜の終焉を予感させる。かつて迷い込んだミュージアムを想起させるような、映像と歌声。大倉と吉澤のラップが織り重なり、空気感を醸造させる。どれだけ会場が大きくなっても、地位を確立しても、観測者との距離は変わらない。むしろどんどん近くなっていく。緑のライトの明滅を背景に、7人の手足が交錯するダンス。最後まで彼らは笑顔を絶やさず、楽しそうにステージ上を駆け回る。シンプルなようだが、それは奇跡だ。 最後まで勢いは衰えることなく、むしろ高まっていく。この時間を、この夢を終わらせたくないと願っているのは、彼らも同じなのだろう。モニターに閃く「零」と「壱」の文字。吹き上がる色とりどりの炎。鼓動に合わせて明滅する青い光。彼らはこれからも、羽ばたくことをやめない。最後には、ステージに吸い込まれるように消えていった。後には炎の熱の余韻しかない。 アンコールがないことも特徴的なげんじぶのライブステージ。あえて潔く楽しい時間を閉じる演出は、かえって余韻を増幅させ、また彼らに会いたくなる。情報解禁のエンディングムービーで、夢を終わりを告げた。 2025年春より、原因は自分にある。はユニバーサルミュージックとパートナーシップを締結。くわえて4都市11公演をめぐる春の全国ツアー『LIVE TOUR 2025 嘲笑倫理学のすゝめ』が3月~4月にかけて開催されること、ならびに7月にはグループ史上最大規模となる「国立代々木競技場 第一体育館」でのワンマンライブ『ARENA LIVE 2025 序破急』が開催されることも解禁された。 彼らは、留まることなく走り続ける。2025年はさらに遠くからの景色を、観測者に示してくれるのだろう。しかし、どれだけグループとして高く大きくなったとしても、彼らの存在そのものが遠くなりはしない。誰ひとり置いていかないと、約束してくれたのだから。 (取材・文/北村有、撮影/米山三郎・笹森健一)