【ライブレポート】原因は自分にある。『ARENA LIVE 2024 白昼夢への招待』での確信「僕らと観測者のみんななら絶対に夢を叶えられる」
げんじぶ初「タオルをぶん回せる曲ができました!」
観測者はもちろんのこと、げんじぶ全員の興奮値も高まっているようだ。武藤はShort MCで「もう楽しすぎて、お客さんも最高すぎて、声が二段階くらい高くなっちゃった」と高揚を隠しきれない。続けて長野から「今日初披露の一曲をやります!げんじぶ史上、タオルを回せる曲ができました。タオルがない人は、ペンライトでも拳でも!」と、新曲『Go to the Moon』が示唆される。なんとこの場で、ライブMVの撮影まで行われることが発表された。 大倉の「史上最高の盛り上がり、よろしく!」の煽りに合わせ、言われるがままタオルやペンライトを、文字通り“ぶん回す”観測者たち。大倉が「まだまだそんなもん?まだ盛り上がれるでしょ?」と無邪気に扇動する。バックモニターに映し出された満月を背負いながら、観測者のテンションを刺激し続ける。 どれだけ観測者の数が増え続けようと、それに甘んじず、ステージやライブごとに新しい挑戦をやめないげんじぶ。武藤が「さあみんな手を上げろ!声を上げろ!まだいけるだろ、聞かせてくれ!」と投げかけるごとに、会場の一体感、団結力が増していく。彼らのかっこよさ、可愛らしさを、ただ客席で眺めているだけでは許されない。ともに会場の空気をぶん回してこそ、観測者たり得るのかもしれない。 気づいたら、雨の音がしている。楽曲は『豪雨』『結末は次のトラフィックナイト』そして『僕らの世界・物語』へ。会場中の空気を丸ごと変貌させ、またもや闇の中で装いを変えるメンバーたち。スタンドマイクを手にしっとりと歌い上げる。まるで天空から滑り落ちていくかのように、一息さえつかせてはくれない。暗いなか、大きな波をうねらせるペンライトの色が、夜闇を埋め尽くす星団のように映える。スポットライトに照らされ、観測者一人ひとりを見つめながら歌う彼らの声は、どこまでも心に寄り添う。 雨の音がしていたかと思えば、次に耳に届くのは煌めく星の音。今夜のげんじぶは、どうやら聴覚を支配する。星に負けない輝きを伴って、観測者たちも声に熱を乗せなければならない。『結末は次のトラフィックナイト』は、今夜のために用意されたリアレンジVer.だ。全員の歌唱力の水準が高いからこそ、打ち出せるバラードアレンジ。彼らが声で、目線で、手や足の動きで誘導する幻惑の世界に誘われる。失われていくのは時間の感覚だ。彼らが見ているのは遠い星々か、それとも、叶え足りない夢の幻影か。 ハードなロックも、可愛らしいポップスも、蕩けさせるバラードも彼らのお手のもの。まだまだげんじぶの懐は暴かれておらず、隠し持ったカードの多さにひれ伏すしかない。バックモニターに映し出される映像は、いつの間にやらモノクロに変わった。大倉、吉沢、小泉の声が降り重なり、黒いスーツの桜木が、百合を手に白い扉へと向かっていく。