美術館にモードが誘われるとき:ポンピドゥー・センターの特別展から見るアートとファッションの共鳴
マルシャル・レイスにはランバンを持ってきた。展示されているランバンの衣装は、アルベール・エルバスが同メゾンのアーティスティック・ディレクターを務めていた2013年春夏のコレクションとしてデザインされたもの。共通するのは女性への敬意と自由だ。 最後はエルズワース・ケリーに、クリスチャン・ディオールを並べて終演となる。ディオールの衣装は1947年春夏オートクチュールのもの。パリのモンテーニュ通り30番地でメゾンを立ち上げた際の最初のコレクションである。その横にはケリーの『黒を超えた白Ⅲ』が並ぶ。華やかだが無機質、静寂の中にある雄弁さが、それぞれに漂っている。
各対を細かく見れば見るほど、キュレーターであるベナイムの意思や遊び心が飛び込んでくる。絵画とファッション、その両岸から新たな楽しさを見つけられる、切り口の良い企画となっている。