エンジンは基本メンテで「30万km」 メルセデス・ベンツSL(R230) UK版中古車ガイド(2) 卓越の性能を堪能
基本メンテナンスで30万kmは回るエンジン
(1)では、R230型のメルセデス・ベンツSLは複雑だとご紹介したが、300と350が最もシンプル。取引価格も比較的お手頃といえ、人気は高い。ただし、V型6気筒エンジンはV型8気筒より不調をきたしやすい傾向がある。 【写真】卓越の性能を堪能 メルセデス・ベンツSL(R230) 初代と最新版 同時期のSLK GTも (112枚) その原因が、バランスシャフトの摩耗。安価には交換できない部品となる。また、プラスチック製の可変吸気マニホールド・レバーも、経年劣化で壊れがちなようだ。 V8エンジンはドラマチックに回転し、V6以上にエネルギッシュな走りへ惹き込まれるはず。ユーチューブを検索してみると、熱心なオーナーが部品交換する動画が数多くあがっている。不具合が起きた時の参考になるはず。 エンジンルーム内へミチミチに収まるV型12気筒ユニットは、複雑でメンテナンスが難しい。エンジンを降ろさないと作業できない内容も多いが、そのかわりウルトラ・スムーズ。洗練され、悠々と高速移動できるのが大きな魅力だろう。 SL 500では、249km/hでカットオフが入るスピードリミッターが標準装備。追加料金でリミッターカットは可能だった。 どのエンジンでも基本的には堅牢で、基本的なメンテナンスで30万km程度は問題なく回り続ける。SL 55のV8ユニットは、60万km以上耐えるとか。ただし、SL 63 AMGのV8ユニットでは、ヘッドボルトの不具合へ注意が必要だ。
英国では専門ショップが心強い存在に
フォールディング・ハードトップやアクティブ・ボディコントロール(ABC)・サスペンション・ストラット、電気系統などの修理は、英国では専門ショップが心強い存在になっている。正規ディーラーより、安価に請けてくれるのもうれしい。 走行中にハミングのようなノイズが聞こえる場合は、ABCアキュムレーターの故障を疑う。流通する交換用部品は、高耐久化された2006年式以降の仕様で、レトロフィットできる。究極の乗り心地を復活させることも、不可能ではない。 クルーズコントロールや「コマンド」インフォテインメント・システム、事故通報システム、タイヤ空気圧センサーといった装備も実装している。シフトレバーにスタートボタンが付いた、キーレスゴー・システムは2006年から標準になった。 エンジンルーム側のバッテリーは、エンジンの始動専用。荷室に、ECUや車載装備用として別のバッテリーが載っている。この状態維持が重要といえる。 ちなみに、チューニングガレージのブラバスが手を加えたR230型もあった。SL 350から600まで激しくパワーアップされたが、6.3L V8ユニットは最高出力が750馬力以上に達した。最高速度は、350km/hを超えたという。