建設業に新たな安全管理資格、IGSAPが創設した狙い
セーフティグローバル推進機構(IGSAP、大阪市淀川区、向殿政男会長=明治大学名誉教授)は、建設業界を対象にした独自の安全マネジメント資格認証制度を創設した。同業界の安全対策は個人の注意力に頼りがちで、労働災害の減少ペースは鈍化傾向にあるとされる。新制度を通じて工事の発注側・請負側の双方の経営幹部や現場責任者らが安全を体系的に理解し、関係者全体のリスク管理能力の向上につなげる。 IGSAPは安全マネジメント資格認証制度の運用業務を日本認証(大阪市淀川区)に委託した。同社が11月11日からeラーニングとウェブ試験を開始する。 IGSAPは制御機器や建設、電機、自動車など幅広い業界から、安全に注力する有力企業が会員として参画する。2020年には製造業を対象にしたマネジメント系安全資格「セーフティオフィサ(SO)」を創設。約160社・約3400人が取得し、現場で安全投資が進むなど効果が出ているという。こうした実績を踏まえ、建設業界に特化したSO資格の創設を決めた。 資格対象は建設工事の発注側・請負側双方の経営幹部向け、双方の工事管理責任者向け、現場管理の実務担当者向けの三つを用意した。基礎安全学と経営安全学、社会安全学、構築安全学の安全4学と建設独自の安全知識を組み合わせ、科目ごとの解説動画を提供する。 ウェブ試験で合否判定し、合格者には独自の資格証を発行する。受講・受験費用は5人以上の団体で1人当たり2万円(消費税抜き)。年間500人ほどの受講を想定する。 建設業界では設計業務と施工業務の分離が基本のため、一貫した安全対策を採用しにくいとされる。日本認証は「建設工事のリスクに対し、正しく向き合える人材育成につなげたい」という。