断種強いられた女性「沈黙している被害者は多い」 優生保護法、被害者の補償制度が25年1月施行へ
優生保護法(1948~96年)下で強制不妊手術を受けさせられたのは憲法違反だとして国家賠償訴訟を起こし、国と先月和解した愛知県の尾上敬子さん(74)の講演会が21日、京都市上京区の同志社大であった。被害者への補償法が来月に施行することを念頭に「京都でも沈黙している被害者は多い。ぜひ支援してあげてください」と訴えた。 障害や疾患を理由に人権をないがしろにされた深刻な実態を知る目的で、府社会福祉協議会やきょうされん京都支部が主催し、府内の福祉施設関係者ら約170人が参加した。 尾上さんは、1975年に自身と同じくろうの夫と結婚後、親から「聞こえないのだから子育てできない」として断種を強いられたと手話で説明した。手術後は夫婦げんかが増えて「子どもや手術の話はタブーになった。悲しみを忘れるために趣味を持つようにした」と振り返った。 2022年の提訴については、優生保護法の存在を知り「親ではなく国が悪かった」と分かったことで、支援者に被害を伝えることができたという。 補償法(1月17日施行)が定める補償金は本人1500万円、配偶者500万円。府内の被害者は統計上152人いる。尾上さんの代理人の高森裕司弁護士も登壇し「(被害者側から)請求しないと支払われないが、すんなり手が挙がる問題ではない。当事者団体や支援団体、高齢者・障害者の福祉関係者、医療関係者の協力が今こそ大切だ」と呼びかけた。