「第30回ゼット杯争奪 関東甲信越身体障害者野球大会」千葉ドリームスター 新主将が「感動を覚えた」10年のストーリー
次の回はブルーサンダースが追い上げを見せるも、規定の試合時間である90分を迎え3回表でゲームセット。ドリームスターが2年ぶりの大会制覇となり、秋の選手権大会への挑戦権を獲得した。 大会MVPには決勝戦で先発し勝利投手となり、打っては2試合に出場し初戦に2打点をマークするなど投打の両方で活躍を見せた山岸英樹が選出された。 現在は陸上のやり投でロサンゼルスパラリンピック出場を目指しており、小学生の時から慣れ親しんでいる野球でまずは堂々たる結果を残してみせた。 連日やり投に臨んだ影響もありながらも「なんとかリカバリーして投げきった」と競技を両立させた。 打撃も逆方向に長打を打つなど持ち味に磨きがかかり、「得点圏だったのでセンター方向イメージで合わせに打ったら逆方向に飛んでくれました」と打席を振り返った。
共に成長し、頂点を掴んだ10年の軌跡
優勝を果たし、特に喜びを表したのが主将の背番号「10」を背負った土屋である。関東甲信越の頂点に立ったことについて、「ホッとしましたし、感動を覚えた」と語った。 というのもドリームスターに入団して今年でちょうど10年、チームと共に自身も成長してきた過程があったからである。 14年暮れ、15歳の時に現監督である父・純一とともに門を叩いた。当時はまだ全国大会に進出するようなチームではなく、入団を機に野球を始めたメンバーで多く構成されていた。 そこから3年が経った17年、前回の地元開催となった本大会で初めて決勝戦へと進出。以降は全国身体障害者野球大会にほぼ毎年出場するなど、全国大会への常連チームへと進化していった。 自らも全国トップレベルの選手が集まる舞台で結果を残し続け、昨年には日本が世界一に輝いた「第5回世界身体障害者野球大会」の代表に東日本のチームで唯一選ばれた。 そして今年からドリームスターの主将に就任。名実ともにチームを象徴する選手となった。 「7年前の地元開催時は、”自力で神戸(春の全国大会)”を目標としてたチームが、今や人も増えて地力も上がって”優勝する”という目標を立てて達成できたストーリーに感動を覚えたんです。真剣に野球と向き合ってきたからこそ味わえた特別な時間でした」と、感慨深く振り返った。