「第30回ゼット杯争奪 関東甲信越身体障害者野球大会」千葉ドリームスター 新主将が「感動を覚えた」10年のストーリー
グラウンドで躍動した赤き戦士たち
ドリームスターは初戦、信濃レッドスターズと対戦した。一回表から主将が打線に勢いをつける。3番・遊撃で出場した土屋来夢がランニング本塁打を放ち2点を先制。幸先よく試合の主導権を握った。 2回表には2番に入った中䑓(なかだい)陵大も3ランとなるランニング本塁打を放つなど、この回で5安打を集中し7得点をマーク。投手陣も2人で3イニング投げ無失点リレーとなり、規定により12-0でコールド勝ちし決勝へと進出した。 昨年8月から約一年間の充電期間を設け、今月初旬に戦列へ復帰した元主将。 この期間については「トレーニングは多く積んでいてパワーが上がっている実感もあったので、その結果が出たと感じています」とプラスとなっていた。 打球は逆方向の左中間へと飛んでいき、打者代走のランナーも悠々とホームインした。 「打った瞬間、本塁打になる感触があって、ランナーもあまり体力を消耗しないで還って来れると思いました。 大会2週前くらいまでは満足な結果が出ていなかったので、復調を期待して大会まで機会を与え続けてくれたスタッフ・選手に感謝です」
決勝の相手は昨年準優勝の東京ブルーサンダース。一昨年の同大会決勝以来の組み合わせとなった。 序盤は互角の展開に。2回表ブルーサンダースの攻撃を終え、5-4とドリームスターが1点リードし裏を迎える。 四球と安打でチャンスをつくると、2試合で4番に入った鈴木貴晶が左中間を破る三塁打などで得点を加えた。 さらに6番に入った梶本祐介も左翼の頭上を越える三塁打を放つなど打線がつながり、この回だけで8得点をマークした。 梶本はこの打席について「高めに浮いたストレートを狙い打ちしました。バットがボールの軌道に綺麗に入ってくれたので、いい結果となりました。次のバッターに繋げることに必死でした」と、気持ちで打った一打だと語った。 激走も見せ、三塁に到達すると右の拳が自然と上がった。 「打った時には長打になることは分かっていたので、少しでも次の塁にと全力で走りました。チームメイトとスタンドからの歓声に安心した気持ちと久しぶりに興奮しましたね」