復興の道 一歩ずつ…「みちのく潮風トレイル」振り返る
青森、岩手、宮城、福島4県の沿岸部約1000キロを結ぶ自然歩道「みちのく潮風トレイル」の全線開通5周年を記念したウォーキングイベント「みちのく潮風トレイルウォーク」が、今年5月から11月にかけて4県で開かれた。読売新聞創刊150周年記念事業の一環。計1400人超の参加者が、東日本大震災からの再建が進む町並みと豊かな自然を眺めながら「復興の道」を歩いた。4県での取り組みを振り返る。 【動画】「みちのく潮風トレイル」開通5周年、相馬の街並みや景勝地を堪能
海沿い彩る絶景 満喫…青森 5月
青空が広がった5月26日、参加者404人が初夏の爽やかな風を浴びながら、八戸市の種差海岸沿いを歩いた。
鳴き砂で知られる「大須賀海岸」やクロマツが茂る「淀の松原」、異国情緒漂う「天然芝生地」などの景勝地が並び、風景が次々と移り変わるのが特徴。足元にはハマナスが鮮やかなピンク色の花を咲かせ、目をなごませた。参加者は時折足を止めては絶景を眺めたり、写真を撮ったりして、豊かな自然を楽しんでいた。
青森県出身のタレント・王林さんと、フリーアナウンサーの藤井貴彦さんもゲスト参加。地元ガイドの案内を受けながらトレイルを満喫した王林さんは「白い砂浜に青い海があり、種差は『青森のハワイ』みたい」と元気いっぱいに語った。
岩手県から参加した60歳代の男性は「東日本大震災時の惨状を知っているので、ここまで復興したことが感慨深い」と笑顔を見せた。
海、山 広がる三陸の美…岩手 6月
絶好の行楽日和となった6月9日、東京や大阪など県内外から集ったハイカーら332人が、写真を撮ったり、すれ違う外国人ハイカーらとあいさつを交わしたりしながら三陸の海と山の自然美を満喫した。
長距離コースは、宮古市の玄関口・宮古駅を出発。市街地を抜け、最大の見どころである景勝地・浄土ヶ浜や竜神崎展望所などを経由。三陸海岸沿い特有のアップダウンに息が上がる参加者も見られたが、青森県から参加した50歳代の会社員男性は「山から海へ移る景色のコントラストも楽しめた」と笑顔だった。
鍬ヶ崎公民館から長距離と同様のルートを通る短距離コースには、ヨルダンで世界的に著名な「ヨルダントレイル」の整備に尽力した同国のリーナ・アンナーブ駐日大使(当時)らもゲスト参加。現地のガイドから震災当時の様子や三陸の自然について話を聞きながら完歩した。