【プロ野球2024 七不思議「謎解き」ワイド】日本人はソフトバンク・近藤のみ! 「3割打者が史上最少3人」の謎
今季も予想外の出来事がたくさん起こったプロ野球。中でも特に球界をざわつかせた異変、珍現象、快挙の謎に野球評論家のお股ニキ氏が迫る!(全7回/第1回目) * * * 昨季、「3割打者が過去最少5人」と話題になったが、今季はさらに減って3人に。DeNAのタイラー・オースティン(.316)、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ(.315)、ソフトバンクの近藤健介(.314)だけとなってしまった。 この現象について、シーズン中から何度も「野球の魅力が損なわれている」と警鐘を鳴らしていたのが『週刊プレイボーイ』本誌おなじみの野球評論家、お股ニキ氏だ。改めて、今季の打低ぶりを総括してもらおう。 「投手のレベルアップやストライクゾーンの拡大など、その要因は複合的ですが、特に今季は『飛ばないボール』の影響が大きかった。私は2021年の半ばあたりから『ボールがどんどん飛ばなくなっている』と指摘してきましたが、それ以前のボールであれば、今季2割9分台の打者は軒並み3割に届いていたはずです」 3割打者が減ったからといって、決して打者のレベルが下がったわけではないのだ。 「一部では『ちゃんと芯でとらえれば飛ぶ。技術がない』と語る球界OBもいますが、物理的に無理なものは無理。これほど打低の野球は魅力的なのか疑問です。MLBと比べて野球そのものに迫力が欠けているのは明らかで、それはフィジカルや技術だけで解決できる問題ではありません」 今季の12球団総本塁打数は975本。昨季から275本も減っただけでなく、1000本を切ったのはあの「統一球問題」で揺れた2011、2012年以来。 ドジャース・大谷翔平の本塁打量産で沸いたMLBとの差を感じずにはいられない。ただ、「飛ばないボール」で本塁打数が減るのは道理として、3割打者まで減るのはなぜなのか? 「打者は『飛ばないな』と思った時点で、少し反動をつけたり、力んでしまったり、本来のスイングができなくなるんです。その上、飛距離が落ちれば、以前なら観客席にまで飛んでいたファウルボールを捕球される機会も増加。 さらに、外野の頭を越えにくいため、外野手はより前進守備になり、ヒットゾーンも減少。打球速度も遅くなるため、野手が打球に追いつく場面が増えますし、球界全体で打率が下がるのも納得です」 一方、防御率1点台投手はセ・パで6人も誕生。髙橋宏斗(中日)はセ・リーグ今世紀最高の1.38をマークした。 「得点が入りにくくなれば、防御率が全体として下がるのは当然です。だからといって、勝ち星が増えやすくなるわけではないですし、防御率2点台なのに負け越してしまう投手も出てきます。果たして、それが健全な野球でしょうか。 試合時間短縮のための『飛ばないボール』という説もありますが、イニング間の不要な演出をやめるなど、先にやるべきことはもっとあります」 文/オグマナオト 写真/時事通信社