【“日本人の魚離れ”もどこ吹く風!】快進撃を続ける鮮魚チェーン「角上魚類」 躍進を支える「あえて人件費を掛ける」ビジネスモデルの秘密
【2】店員の数が多い
第二に角上魚類は、店員が多くいます。もうそれは、どの店舗に行っても異常なくらい多くいる印象です。 東京・北区の赤羽店を例に話をしましょう。赤羽店は、高架下のビーンズ赤羽というショッピングセンター内にあり、八百屋や肉屋と共にテナントとして入居しています。そのため、スーパーと同じような売り場で、広さも一般的なスーパーと変わりません。 にもかかわらず、見える範囲だけでも店員が常時20名ほどいる状況で運営されています。店員には、品出しをしている者や対面コーナーに立つ者もいますが、多くは対面コーナー奥の調理スペースで注文を受けた魚を捌いています。 一方で、一般的なスーパーの場合は、店員が少なく、売り場から見える範囲で3名~6名程というお店がほとんどです。これでは、多くのお客からの捌く要望には答えられませんし、様々な魚を置くことが難しくなります。
【3】郊外出店
第三に角上魚類は、郊外出店が多いのも特徴的です。 関東では、東京23区内の店舗は赤羽店と南千住店の2店舗のみ。あとは、都内だと小平店や日野店など郊外の店舗です。都道府県では埼玉県が最も多く、8店舗を出店していますが、どこも東京のベッドタウンです。 角上魚類は、関東圏に進出しながらも、地価があまり高くないところにのみ出店していることが分かります。 これらのことを踏まえて、角上魚類を経営的に分析しましょう。対面コーナーにせよ、店員の数にせよ、角上魚類はあえて人件費を掛けるやり方をしていることに気がつきます。そして、土地代など、そのほかの経費は抑えています。 人件費抑制が叫ばれる昨今、一般的なスーパーの店員数が少ないのもその流れでしょう。しかし、角上魚類はその逆を突いて売り上げを伸ばしているのです。 ※ながさき一生・著『魚ビジネス』より一部抜粋して再構成。 【プロフィール】 ながさき一生(ながさき・いっき)/1984年、新潟県糸魚川市生まれ。株式会社さかなプロダクション代表取締役、東京海洋大学非常勤講師。漁師の家庭で家業を手伝いながら18年間を送る。2007年、東京海洋大学を卒業後、築地市場の卸売会社で働いた後、同大学院で修士取得。2006年からは魚好きのコミュニティ「さかなの会」を主宰。漁業ドラマ『ファーストペンギン!』では監修も務める。著書に『魚ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)。
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