クルマに付けてる「青地に車いす」マークに“法的効力”一切無し!? 「黄色いちょうちょ」と役割違う? 意外と知らない実態とは
「車いすマーク」のステッカーに法的効力なし!
「車いすマーク」は障がい者用駐車スペースに描かれていたり、クルマにステッカーやマグネットで貼られるなど、よく見かけます。 しかし、この表示には法的効力がないことは、あまり知られていないかもしれません。 【画像】「えぇぇぇぇ!」これが「黄色いちょうちょマーク」です! 画像を見る(30枚以上)
車いすマークの意味合いとしては「障がい者専用」で間違いはないのですが、正式名称は「(障がい者のための)国際シンボルマーク」です。 車いすや足の不自由な人を含む障がい者全般が利用できる施設や建物、場所を示すマークとして、1969年に制定されました(国際リハビリテーション協会)。 また、個人のクルマに表示することは国際シンボルマーク本来の主旨とは異なり、あくまで「障がいのある人が乗っています」ということを周囲にアピールする程度。 表示してあっても、道路交通法上の規制を免れるなどの法的効力がないばかりか、障がい者専用駐車場の優先利用を証明するものでもないとされています。 では、法的効力を持つマークとはどのようなものなのでしょうか。 法的効力を持つマークは2つあります。ひとつが青地に四葉のクローバーが描かれた「身体障害者標識」(身体障害者マーク・装着は努力義務)と、もうひとつが緑地に黄色の蝶が描かれた「聴覚障害者標識」(聴覚障害者マーク・装着が義務)です。 しかもこちらもステッカーやマグネットだけでは、税金の免除や駐車禁止(駐禁)の除外とはなりませんが、周囲のクルマがこのマークを付けたクルマに幅寄せや割り込みを行うと、道路交通法の規定によって罰せられます(危険防止のためのやむを得ない場合を除く)。 そして、この身体障害者標識と聴覚障害者標識の2種類のマークを用いたステッカーやマグネットは、運転試験場内の売店で「全日本交通安全協会認定品」が販売されていたり、ネット通販などでも購入が可能ですが、これだけでは法的効力はありません。 税金免除や駐禁除外の効力を持たせるためには、別途決められた申請が必須です。 税金関係は各都道府県の自動車税事務窓口、「駐車禁止除外指定車標章」は管轄の警察署に申請して駐車禁止除外指定車標章を発行してもらう必要があります。 障害者標識と駐車禁止除外指定車標章の2種類があって、はじめて法的効力が出てくるというわけです。 実際に車いすマークを使用している人に話を聞いてみました。 足に障がいを持つSさん(50代・埼玉県)は駐車禁止除外指定車標章をすでに申請・交付され、自分で運転もしています。 ただし、どこにでも停めていいわけではないといいます。 「たとえ理由があったとしても、交差点や横断歩道、曲がり角の5m以内には駐車はできません。 また『駐停車禁止路側帯』も駐車できませんが、停車しても3.5m以上の余裕がある場合は『駐停車禁止路側帯』に沿って道路の左側に停めることが可能ですが、駐車して3.5m以下の余裕がない道路も駐車できません。 それでも目的地付近まで自分で運転できるのはありがたいことです」 ※ ※ ※ 車いすマークは法的効力を持たないとはいえ、障がい者、またはそれに準じるケアが必要な人が乗っています。 マークを付けたクルマを見かけたら、できる限り走行を邪魔しない配慮を心がけましょう。 また、障がい者ではないのに車いすマークを付けるという不正行為はやめたほうがいいでしょう。
くるまのニュースライター 金田ケイスケ