中国の貿易黒字、今年は過去最大の見通し 貿易摩擦激化のおそれも
中国税関総署が10日発表した11月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は974億ドル(約15兆円)で、10月の957億ドルから拡大し、前年同月から41%増えた。今年1~11月の累計では8847億ドルと同期間としては過去最大を記録しており、通年でも過去最大となる可能性が高い。 11月の輸出額は前年同月比6.7%増の3123億ドル。家電やアルミ材の輸出が増えた。主に欧米との間で貿易摩擦を招いている電気自動車(EV)を含む自動車は、数量は増えたものの金額ではマイナスに転じており、販売価格の低下が鮮明になっている。 一方、輸入額は同3.9%減の2148億ドルとなり、2カ月連続で減少した。長引く不動産不況で個人消費が低迷していることが背景にある。 中国経済は外需頼みが続き、1~11月の累計の貿易黒字は前年同期比18%増え、通年では初の1兆ドルに迫る勢いだ。 ただ、対中貿易赤字を問題視する米トランプ次期大統領は中国製品へ60%の関税をかける方針を掲げている。10月の中国の対米貿易黒字は前年同月比で17%増加している。膨らむ中国の貿易黒字は米国などとの貿易摩擦の激化につながる可能性もある。(北京=鈴木友里子)
朝日新聞社