杏「20代の頃はいまより“角”があった」 パリと日本の2拠点生活で心境に変化
YouTubeのいいところは、「記録」に残せること。いつでも見返すことができるので、将来的に子どもたちも振り返ることができますね。住んでいる家の風景や、飼っている犬のことなど、大人になると忘れていってしまうことも記録として残していける。よく作る料理も「こうやって作っていたんだ」と見返すことができますから。映像には意図しないものが映り込んでいたりもする。それは映像ならではの面白さだなと感じます。 ■大きな視点で考える ――新たに挑戦したいことはあるのだろうか。 杏:語学を頑張りたいと思っていて。オンラインや対面で、フレキシブルに組みながらレッスンに向き合っています。 パリでは買い物に行けばセルフレジもありますし、周囲は優しく英語で話しかけてくれるので、意外とフランス語で話さなくても生活できてしまうんですよね。学校で一日何時間もフランス語に接している子どもたちの方が、差し迫って話さなければいけない場面も多く、よっぽど大変だろうなと思います。 フランスでデモが起きれば「このデモはなぜ起こっているんだろう」と大きな視点で物事を考えるようにもなりました。少し前に農家さんたちによる大規模デモが起こり、バリケードをつくったり、政治家の自宅前で抗議活動を行ったりする光景をニュースで目にしたときは、昔読んだヴィクトル・ユーゴーの小説『レ・ミゼラブル』の“怒れる民衆”たちのことを思い出したり。 国民性や価値観の違い、知らなかった習慣や社会システムなど、日本にいては感じられなかったであろうことを、肌で感じながら日々を過ごしています。 (構成/ライター・古谷ゆう子) ※AERA 2024年6月3日号より抜粋
古谷ゆう子