<水沼貴史氏が分析>なぜザックJは変わったか?
後半開始と同時に投入された遠藤と香川が素晴らしいパフォーマンスを見せたのも、ベンチスタートだった点と決して無関係ではないだろう。おそらく彼らは「オレたちはレギュラー」だと思っているはずだし、これだけできるんだということをプレーで示したかったはずだ。 ■心が整っていることが必要だった 代表チームには新陳代謝が必要だと思っている。メンバーをほぼ固定して戦ってきたザッケローニ監督がなぜこの時期に、という真意は計りかねる。しかし、今年に入ってからの決してよくない流れを受けて、何らかの変化あるいは刺激が必要という判断に至った経緯は察することができる。 精彩を欠き、重苦しいムードに包まれた10月の東欧遠征と比べて、選手たちのフィジカルコンディションが飛躍的に上がっているとは思えない。しかし、体を整えるには心が整っていないといけない。 ピッチ状態こそよくないものの、スタジアムは、まずまずの規模を誇る。お客さんも入る。対峙するのは強豪オランダで、そこにザッケローニ監督からのメッセージが伝わる。充実したメンタルがフィジカルにも好影響を与え、日本の攻守に鋭さを加えた「スピード」の源になったのだろう。 ■プラスアルファを求めることが大事 10月のベラルーシ代表戦で苦杯をなめた直後に、本田は「新しいことにトライしている」と明言した。私自身としては成長を促す意味でも決して悪いことではないと思ったが、同時に「新しいこと」に固執しすぎるとよくないとも思った。 大事なのは、これまでの歩みから決してぶれずにプラスアルファを求めること。頭を柔軟にして取り組む姿勢だと思っている。 オランダ戦で言えば、ポゼッションにこだわる、自分たちのアイデアで相手ゴール前を崩すという点は以前から貫いてきたスタイルとなる。ならば何がこれまでと違ったのかと言えば、相手ゴールへ向かうスピード、サイドチェンジのロングパスを有効に使う、前からプレッシャーをかけてショートカウンターを仕掛ける、となるだろう。