海外移住組の富裕層が資産形成に活用する「現地の生命保険」のスゴさ…日本の生命保険とは比較にならない、圧倒的な収益性の実態〈香港編〉【国際弁護士が解説】
貯蓄重視型の商品…貯蓄機能の充実は当然、死亡保障機能も十分
小峰:ここまで、死亡保障重視型の商品について伺ってきましたが、貯蓄重視型の商品はいかがでしょうか? 菊池:やはり40歳男性(非喫煙者)が、同程度の保険料を支払う保険商品を購入した場合で比較してみましょう。解約返戻金は、契約を結んで間もない時期からずっと継続して、貯蓄重視型の商品の方が多くなります。まあ、貯蓄重視型の商品ですから当然です。 小峰:貯蓄を重視しているとはいえ、死亡保障もついているのでしょうか? 菊池:はい。死亡保障もついています。そして、死亡保障額も契約から約40年後には、死亡保障額重視型に追いつくので、死亡保障の機能も十分でしょう。ちなみに、日本の保険と比較すると、ほぼ全ての面で圧倒的に優っているといえます。先ほどのグラフに、貯蓄重視型の数字を加えたグラフを作ってみましょう。
残念ながら、日本居住者の海外の保険の購入は「原則禁止」
小峰:日本の生命保険と比べると、圧倒的に香港の生命保険の方が勝っていて、日本の生命保険を選ぶ理由はないですね…。 菊池:ところが、日本の保険業法で、日本居住者は原則的に海外の保険商品を買うことができないと定められています。買うためには、海外移住をするか、内閣総理大臣の許可を得ることが必要とされています。 小峰:そもそも、海外の保険商品を知らない、なんとなく怖いと感じている方も多いでしょうけれども、この保険業法の規制があるため、多くの日本居住者は、日本の生命保険を購入しているのですね。
香港の生命保険、ここまで利回りがいい理由
小峰:日本の保険商品と香港の保険商品、利回りがあまりに違うのですが、いったい何が理由なのでしょうか? 菊池:コスト要因もあるかもしれません。たとえば、日本の生命保険会社は、日本の各地に支店を持っていますが、香港は狭いから支店の負担が小さい、などです。もうひとつ考えられる理由は、保険会社による資金の運用先でしょう。たとえば、日本生命は40%以上を公社債で運用していることを明らかにしています。公社債の大半は日本国債でしょうが、日本国債の利回りは非常に低いですから、資金を増やすという観点からは選ぶ理由がまったくない運用先です。このような運用をしていては、資金が増えないのも当然でしょう。 小峰:日本の生命保険会社が国債を買ってくれないと、国債を発行しても消化しきれないでしょう。でも、もし日本人が利回りのいい外国の生命保険を買うようになったら、日本の生命保険会社も日本国債を買い続けるわけには行かなくなるでしょうね…。この点は、先ほど話にでた、日本居住者は原則として外国の保険商品を買えないという保険業法の規制も関連しているのかもしれませんね。
インタビューを終えて
香港の生命保険は利回りがいいとは聞いていましたが、実際に数字を出して比較すると想像していた以上の差に驚きました。日本で普通に生活していると海外の金融商品を知る機会は少ないと思いますが、海外の金融商品について知識を得ることは、今後の自身の資産構築のためにも大切だといえます。 小峰 孝史 OWL Investments マネージング・ディレクター・弁護士
小峰 孝史,OWL Investments