仙女・新潟大会でのジャイアントな「箸休め」マッチに隠されていた“言葉にならない感慨”「もう今日で引退しようかな俺(笑)」
パワーの真っ向勝負。ヘビー級ならではの攻防をみせたササダンゴと石川
大会の第4試合、ステージに立ったササダンゴは恒例のパワポプレゼンを地元のプロレスファン、里村ファンの前で展開する。そこで披露された作戦は、ものづくりの街として知られる新潟・燕三条のステンレスボウルを頭に被り、石川の頭突きを無効化するというもの。 試合が佳境に入ると、ササダンゴは場外で見事にステンレスボウルを着用。客前でいったんマスクを脱ぎ、被り直すという覆面レスラーにあるまじき動きも実に鮮やかだ。仙女の“熱い女子プロレス”を見慣れた観客を笑わせまくり、石川を苦しめた上で、ササダンゴは負けた。大会中盤、最適な温度感での“箸休め”に見えた。 ただこの試合、パワポでプレゼンされた作戦以外にも印象に残る場面があった。タックルやラリアットといった、パワーの真っ向勝負だ。 “令和の大巨人”石川は195cm、130kgの大型ファイター。最近、父親を亡くしたばかりのササダンゴは「喪中にやる相手じゃない」とボヤいていたが、彼も183.5cm・117kgという体格。2人の攻防はヘビー級ならではのものだった。 試合後のコメント取材。“箸休め”だから他の記者はいない。けれど特別な試合だった。石川もササダンゴも、何度となく「感慨深い」と言っていた。 「いや、ホントに凄い選手なんですから」とササダンゴ。石川は大日本プロレスでデスマッチとストロング(通常ルール)両方のベルトを巻き、全日本プロレス入りすると三冠ヘビー級王者に。現在はフリーとして各団体の第一線で活躍する。 「全日本にすら収まらなかった器ですよ。だから小細工なんてものが通用する相手じゃないんですけど」(ササダンゴ) 自分とは違う道、いわばプロレスの“王道”でも結果を出した、誇らしい仲間との初シングル。正面から組み合い、殴り合って石川の力を感じることがササダンゴには必要だったのだろう。パワポとか人気タレントとか才人とか、そういう以前に“いちプロレスラー”として必要だったと言えばいいだろうか。