呉の名物カレー店が復活! 店長は18歳の孫 大学進学を取りやめて決断「祖父の味をもう一度」【広島発】
酪農家の両親とコラボで新メニューも
オリジナルカレーがようやく納得のいく仕上がりになると、今度は自分らしさも出していきたいと新メニューの開発に取りかかった。 ビーフカレーだ。使っている牛肉にこだわりがある。 新メニューには県北の三次市三良坂町の牧場で育てられたブラウンスイス牛の肉を使用。自然放牧でのびのびと育てられた牛は脂身が少なく、高たんぱく。ビタミンなどの栄養素も多く含んでいるという。 実は、この牛を育てているのは満里愛さんの両親。牧場だけでなくチーズ工房も開いた酪農家で、娘にもカレー店を通して成長してもらいたいと背中を押した。 満里愛さんの父・正典さんは「若いうちに苦労しろじゃないけれど、言われたことをやるんじゃなくて、自分で考えて物事を成し遂げるプロセスで人は成長すると思う。満里愛の手で、より濃い熟成したカレーにしてほしい」とエールを送る。 大学進学をいったん取りやめて、店の再開を決意したという満里愛さん。友人の楽しそうな姿を見て、正直うらやましいと思ったこともあったそう。葛藤を抱える中で「誰でも経験できることではないし、自分の成長に確実につながっている」と店への思いはますます強くなっていった。
客から伝わる祖父の面影
そんな思いを天国から応援してくれているかのように、「ホワイトハウス」は復活オープンから大盛況。祖父の代にはなかったビーフカレーも好評だ。1日限定20食でスタートしたが、40食以上販売する日もある。 満里愛さんの原動力となっているのは、昔から店をよく知る客たちの温かさだ。 「昔の味と変わらないよね」 「なんかうれしいです」 「この地域が元気になる。寂しかったからね」 そんな声に励まされている。 また、満里愛さんの知らない“祖父の人柄”を感じることも。4人組の客が2018年7月に呉市で起こった豪雨災害のエピソードを話してくれた。 「水害で断水になったとき、ここだけが井戸水をみんなにどうぞって。順番を待たずに4、5人が一度に水をもらえるようにして、ご自由にお取りくださいと」 当時の写真を見せてもらうと、井戸水の管に何本もホースをつなぎ、店先が給水所のようになっていた。客は「お礼がてら来ないとと思って。お孫さん、よく頑張るよね」と感心した様子だ。初めて会う客とも、祖父の存在がお互いの距離を縮めてくれる。 満里愛さんは「お客さんがこれくらい来たよとか、昔のお客さんがおいしいと言ってくれたよって祖父に伝えたいです」と話す。 天国の祖父はなんと声をかけてくれるだろうか。 「これからも頑張ってね。ホワイトハウスをよろしくねって言ってくれたらすごくうれしいです」 2年ぶりに活気が戻ってきた人気カレー店。祖父の味と店を守るため、18歳の奮闘はこれからも続く。 (テレビ新広島)
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