甲子園ボウル様変わり 準々決勝で早くも東西対決 アメフト
アメリカンフットボールの全日本大学選手権(決勝・三菱電機杯 第79回毎日甲子園ボウル)は23日から準々決勝が始まる。枠組みの変更により、「東西対決」の色合いが強かった毎日甲子園ボウルが「日本で最も強い2校の対戦」に様変わり。史上初の関西対決、関東対決となる可能性もあり、注目が集まる。 ◇「本気の関学さんじゃない」 「関学大さんも、甲子園ボウルを見据えると非常に難しいゲームメークだったと思います」 10日に行われた関西学生リーグの最終節。関学大を24―14で破り、6勝1敗で並んで2校同時優勝となった立命大の高橋健太郎監督は、表情を引き締めた。 立命大の「完勝」とも言える内容だった。前半を17―14とリードして折り返すと、後半は完全に自分たちのペースだった。OLが相手ディフェンス陣を次々となぎ倒し、ボールを支配。獲得距離は関学大の167ヤードに対し、立命大が412ヤードと大きく上回った。 それでも、手放しでは喜べない。高橋監督が「難しい」と表現したのは、両チームが毎日甲子園ボウルで再戦する可能性があるからだ。 全日本大学選手権は今回から、関東と関西はリーグ戦上位3校まで出場が認められた。直接対決の結果により、関西1位となった立命大と2位の関学大はトーナメントの別の山に入り、お互い勝ち上がれば決勝で再び相まみえる。 関学大の大村和輝監督は「今日はオフェンス、ディフェンス、キッキングともに完敗じゃないでしょうか」と淡々と語ったが、立命大の見方は違った。 「まだまだ(関学大は)余裕ありますよね、正直。彼らは甲子園(ボウル)に合わせてくる。今日は本気の関学さんじゃないと思っている」 この試合で二つのタッチダウンを決めた主将の山崎大央(だいち)選手は打ち明ける。実際、関学大は手の内を明かさないかのように基本的なプレーに徹していた。立命大戦で恒例となっていた部歌も、今回は歌わなかった。 ◇「関西が強いのは認めているが……」 毎日甲子園ボウルは1947年に始まり、長らく関東と関西の代表校同士による「東西王座決定戦」として行われてきた。 2009年に全日本大学選手権が新設されると、全国8地区に門戸が開かれ、毎日甲子園ボウルはその決勝と位置づけられた。その後もトーナメント形式の細かな変化はあったが、決勝が東西対決となる構図は続いてきた。 今回、関東と関西から3校が出場できるようになったのは、決勝を純粋な実力校同士の対戦とするためだ。これにより東西対決の枠組みが取り払われ、準々決勝から早速、関東と関西の強豪校が顔を合わせることになった。 関学大は23日に関東3位の慶大を迎え撃つ。永井励主将は「日本一に向けて勝ち進んでいくことに変わりはない。タイトなスケジュールで、選手のコンディションが大きく変わるシーズンになっているので、キャプテンとして引き締めながら甲子園まで走りきりたい」と強調する。 今回の枠組み変更で全日本大学選手権に出場するチャンスが広がり、選手の成長につながったとの声もある。 早大はリーグ5戦目で法大に敗れたが、その後は立教大、明大に勝利し、関東2位で全日本大学選手権に駒を進めた。 高岡勝監督は「法大に負けて4年生が目標を見つめ直し、その後の2戦でどう成長するか考えながら取り組めたのは、新しいトーナメントの成果。他競技から転向したり、高校時代はフットボールで戦えなかったりした選手が多い中、成長できる場を設けられたのはありがたい」と語る。 23日の相手は関西3位の関大だ。小林亮生(りょう)主将は「目標として関西を倒すのは変わらない。関西が強いのは認めているが、自分たちのファンダメンタル(基本技術)は劣っていない。そこで勝負したい」と意気込んだ。【深野麟之介、吉川雄飛】