「税務署」と「マルサ」が行う調査は何が違うの?自宅にある「300万円」のタンス預金は捜査対象になる?
「税務署」と「マルサ」は聞いたことがあっても、具体的に何をする組織なのかまでは知らない方が多いでしょう。ぼんやりと、「税金に関する調査を行う機関」というイメージはあるかもしれません。 そこで、本記事では税務署とマルサの違いについて、同時に話題に挙がりやすいタンス預金も踏まえながら解説します。 ▼タンス預金していた現金を銀行に預ける場合、「税金」の支払いは発生するの?
税務署とマルサの違い
「マルサ」とは隠語であり、いわゆる通称です。正式名称は国税局査察部といい、税務署と同じく納税に関する調査を行っています。適正かつ公平な課税や納税制度の実現などを目的に、脱税者の摘発や責任の追及を目指す組織です。 税務署が調査をする場合は、対象者に事前連絡をしたうえで、日程調整をしてから任意調査を行います。これに対し、国税局査察部の調査は事前予告がなく、かつ強制的に調査が行われる点に違いがあります。 税務署は個人事業主などのような、一般的な納税者に近い窓口として税金の徴収などを行う組織です。対して、国税局査察部は一般的な納税者よりも規模が大きい、かつ悪質とされる脱税者を取り締まることを主な目的としています。 このため、国税局査察部は税務署よりも強力な調査権限を持ち合わせているのです。つまり、税務署と国税局査察部、通称マルサは、納税に関する調査の方法とそれに基づく権限や調査対象者などに違いがあります。
タンス預金について
タンス預金とは、現金を金融機関に預けずに、自宅などに保管することをいいます。タンスといっても、実際にタンスにお金を保管しているわけではないケースもあり、例えば、クローゼットや金庫、貸金庫、会社などに保管していてもタンス預金に該当します。つまり、保管場所は自宅とは限りません。 勘違いされがちですが、タンス預金自体は違法ではありません。ただし、税金対策としてタンス預金を相続税や贈与税に含めずに、過少申告する行為は違法です。タンス預金も相続税や贈与税の対象であり、財産として申告する必要があるからです。そのため、300万円を過少申告していないなら違法性はないと判断できる可能性が高まるでしょう。 つまり、タンス預金を用いた相続税や贈与税の過少申告は節税ではなく、脱税行為であり犯罪になります。 税務署は納税者の収入や資産などの金銭的状況に加え、被相続人が死亡した事実まで把握できます。また、家族も含めて銀行口座の入出金情報や取引状況の照会も可能です。つまり、適切ではないお金の流れ、いわゆる脱税の事実は調査のうえで発覚する可能性が高いでしょう。